先進主要国の実質賃金指数の推移と安倍政権の失策による国民の生活苦

安倍晋三政治・行政

経済雑誌を読んでいるとたびたび、「日本人の賃金は世界でも類を見ないほど低迷したまま!」という内容の記事に出くわします。本当にそうなんでしょうか?
そこで今回は、「日本と先進諸外国での労働者賃金の推移」について詳しく調べて見ました。

実質賃金指数の推移の国際比較

下のグラフは経済協力開発機構(OECD)が発表している「時間あたりの労働者一人当たりの賃金(含む残業代)の推移」です。
注1) 各国とも1997年の賃金を100とする
注2) 各国とも自国通貨ベースで算出している

時間あたりの労働者一人当たりの賃金(含む残業代)の推移

出典:東京新聞

これを見ると、驚くことにここ20年の間に各国の労働者の時間当たりの賃金は・・・、

韓国 167%
イギリス 93%
アメリカ 82%
フランス 69%
ドイツ 59%
日本 -8%

まあ、韓国はともかく欧米先進国はどの国も6割~9割ほど賃金が増えているのに、日本はなんと-8%と減少しているのです。信じられないような事実ですね。
まさに、石川啄木の「働けど働けど猶わが生活(暮らし)楽にならざりぢっと手を見る」という歌と同じ状態です。よく日本人は、こんな状況を20年間もじっと耐えてきたと思いませんか?

賃金低迷の主因は企業の人件費抑制!

では、なぜ日本だけが労働者の賃金が低迷したままなんでしょうか?
世の中にはいろいろな意見がありますが、概ね下記のように言われています。

少子高齢化の急速な進行

消費の牽引役である生産年齢(15~64歳)の減少
(1995~2015年の間に約1,000万人も減少)

多くの企業の国内売り上げが減少

企業の収益が低迷

企業は利益確保のために人件費を抑制

賃金が伸びない多くの労働者の消費心理の冷え込み

モノを売りたい企業同士の価格競争の激化

さらなる
企業収益低迷

企業は利益確保のためにさらなる人件費を抑制

日本はこのような負のデフレスパイラル20年も続けているのです。

あらためて振り返ってみると、私たちの生活に根付いているスーパーやコンビニ、通信、宅配便、外食産業といったサービスは、海外に比べて極めて便利で安価なサービスなのですが、皮肉にもその背景には低賃金で働く従業員の存在があるというわけです。

増え続ける企業の内部留保金

下記のグラフは、財務省の法人企業統計による金融業・保険業を除く全産業ベースでの企業の内部留保金(利益剰余金)の推移です。
これを見ると、企業の内部留保金は1990年代後半には130兆円程度だったのに2018年度には463兆円と3.6倍に膨れ上がっているのがわかります。

金融業・保険業を除く全産業ベースでの、企業の内部留保金(利益剰余金)は1990年代後半の130兆円から2018年度には463兆円と3.6倍に膨れ上がっているのです。

企業の内部留保金(利益剰余金)の推移

出典:財務省

その理由は、円安で輸出企業を中心に企業利益は増えたが、人件費の抑制姿勢は変えず稼いだお金を従業員に還元せず内部留保として企業内部に溜め込んだのです。本当にひどい話です。
また、その背景にあるのが、安倍政権が「長年のデフレから脱却」させるために、2012年から続けているゼロ金利に代表される「日銀による大規模な金融緩和政策」と「株式や国債の買い入れ政策」です。

この政策により、2011年には1ドル=75円台の史上最高の円高が、2015年には1ドル=125円台まで急速に円安が進み、その結果海外では日本からの輸出品が1/2以下で買えるので日本からの輸出が大幅に拡大し、日本の輸出企業の業績が大きく改善したのです。
また、株式市場も急速に回復し、2012年12月当時10,000円程度だった日経平均株価は、2018年10月にはおよそ27年ぶりの高値である24,270円と2.5倍近く上昇したのです。

一方、円安で輸入物価は上昇し家計の負担となっているため、消費者の購買意欲は冷え込みました。

大企業とお金持ちだけが潤った安倍時代

このように、安倍政権庶民を切り捨て大企業とお金持ち(=株式や国債を持つ)だけが恩恵を受ける政策=アベノミクスを続けているのです。そのため、庶民は「国際競争力強化」を口実に低賃金を強いられ、長年貧しい生活を続けているのです。

下のグラフは、2018年国民生活基礎調査(厚生労働省)の結果をもとにした「所得金額階級別の相対度数分布」です。

「所得金額階級別の相対度数分布」

出典:厚労省HP

これを見ると、平均所得(=556万円)以下の世帯が62.4%、また400万円未満の世帯が半数以上の52.3%もいることがわかります。

次に、「生活意識」を見てみると、平成5年(1993年)当時は、「大変苦しい」が16.3%、「やや苦しい」が29.7%で合わせて
45.9%が「生活が苦しい」と回答しています。
しかし、平成30年(2018年)には、「大変苦しい」が24.4%(8.1%UP)、「やや苦しい」が33.3%(3.6%UP)で合わせて
57.7%(11.8%UP)が「生活が苦しい」と回答しているのです。


しかし安倍さんは、「新型コロナ騒動」が始まる前まで、「企業利益は28年ぶりの高い水準」とか「失業率が歴史的低水準」とメディアで繰り返し言い、自分の政策は大成功していることを訴えています。

ただただ庶民を苦しめ続けたこの20年余りの日本の政治と行政。
その真骨頂が安倍政権だと自分は思う!

安倍さんは気づいていないだろうけど・・・、「新型コロナ騒動」が無くてもすでに日本の庶民はボロボロだったのです。
それでも、安倍さんの言うことに従い、「じっと外出自粛」を守り続ける日本人って本当に偉いと思う!

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