奨学金制度などの「教育にカネを使わない国ニッポン」

 

今年も本格的な受験シーズンが始まりましたねぇ。この時期になると、マスコミでも「日本の高等教育に対する国の対応の遅れ」がしばしば話題になります。
そこで今回は、奨学金制度や大学の授業料無償化などについていろいろ調べてみました。

奨学金制度とはどんな仕組み

奨学金制度は、日本だけではなく世界各国にある社会的仕組みで、経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度です。

この「貸与型」の奨学金と「給付型」の奨学金の違いは・・・、

貸与型奨学金は、在学中は返済の義務はありませんが、卒業後には返済しなければならない奨学金です。ただ、貸与型奨学金の金利水準は、民間の教育ローンなどと比べて大幅に低いのが特徴です。

一方の給付型奨学金は、返還義務がない奨学金です。しかし、「審査基準が厳しい」、「成績上位者のみ」などの厳しい条件が多いのが特徴です。
ただ、現在の日本の公的奨学金には、この「給付型奨学金」がないのが現状です。

OECD主要国の国公立大学授業料無償化、給付制奨学金の状況

一方、海外の先進国の高等教育への公的サポートの現状を見てみると、なんと日本は大学教育に関する公費支出(対GDP割合)がOECD加盟国中最下位。

一般的に、「大学の年間学費」と「公的奨学金/ローンの整備状況」から世界各国を見てみると、次のグループに分けることが出来ます。

①グループ:授業料が高いが、奨学金が充実しているグループ
  ・・・アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど

②グループ:授業料が高く、奨学金も充実していないグループ
  ・・・日本

③グループ:授業料が安く、奨学金が充実していないグループ
  ・・・大陸ヨーロッパ⇒スペイン、イタリア、スイス、フランス、ベルギーなど

④グループ:授業料が安く、奨学金も充実しているグループ
  ・・・・北欧⇒ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンなど

日本は、本当にひどい状況ですね。海外では「教育にカネを使わない国ニッポン」としてよく知られているそうです。

最後に、具体的にOECD主要国の現状をみてみました。ちなみに、日本は一番最後です・・・。

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:100%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →全学生が奨学金を受給できる。給付額は、一人暮らしの場合は月額111,200円、親と同居は月額17,300~47,900。障害のある学生などは追加あり。平均額は年約130万円。

■フィンランド

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:ほぼ100%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →登録料(12,100~17,000円)あり。学生自身の収入が約167万円以下の学生は奨学金(月額7,800~47,100円)を受給できる。一人暮らしの学生には家賃補助もある。

■スウェーデン

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:67.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →公設私立も国公立と同じで無償。社会経済的状況を要件とする奨学金があり、給付額は月額43,600円(上限額)。取得単位数や学生自身の収入などに応じて減額される。

■トルコ

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:30.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →夜間課程のみ授業料(12,600~29,600円)あり。社会経済的状況を要件とする奨学金(年額13,800~27,500円)と成績を要件とする奨学金(年額9,800~19,700円)がある。

■ドイツ

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:25.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →2008年までに7州で有償となったが、再び無償化が広がり、2014年冬学期以降、全州で原則無償に。社会経済的状況を要件とする奨学金と成績を主な要件とするものがある。

■ギリシャ

・授業料・年額(円):無償化
・給付制奨学金:有、受給学生割合:1.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →憲法により高等教育を含む全段階の教育が無償とされる。成績を主な要件とする奨学金があり、給付額は一律年額206,000円。成績優秀者への追加給付や住居手当もある。

■フランス

・授業料・年額(円):26,500
・給付制奨学金:有、受給学生割合:34.7%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →登録料と健康診断費がある。大学に次ぐ規模のグランゼコールの負担は年額80,000~1,400,000円。社会経済的状況を要件とする奨学金(最大年額777,600円)がある。

■アイスランド

・授業料・年額(円):68,100
・給付制奨学金:無、受給学生割合:0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →授業料でなく管理登録料(年額68,100円、2014/15年)がある。学生の82%が国公立に、18%が授業料がある公設私立に通う。国による給付制奨学金はない。

■スイス

・授業料・年額(円):89,900
・給付制奨学金:有、受給学生割合:7.2%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →連邦政府の補助による社会経済的状況を要件とする奨学金を各州が運営。左の値は平均受給率。この他、世帯収入などを要件とする家族手当(月額最低27,000円)がある。 

■ポルトガル

・授業料・年額(円):88,600~149,900
・給付制奨学金:有、受給学生割合:18.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →社会経済的状況を要件とする奨学金(年額149,900~797,200円)と成績を主な要件とする奨学金(一律年額339,000円)がある(2014/15年度)。左の値は前者のみ。

■スペイン

・授業料・年額(円):155,800
・給付制奨学金:有、受給学生割合:27.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →中央政府、州、地方自治体などにそれぞれ奨学金がある。中央政府には社会経済的状況を主な要件とする奨学金(年額約3~82万円)があり、平均給付額は320,900円。

■イタリア

・授業料・年額(円):167,800
・給付制奨学金:有、受給学生割合:8.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →社会経済的状況を主な要件とする奨学金と成績を主な要件とする奨学金がある。前者の給付額は年額270,300~717,100円(2014/15年度)。

■オランダ

・授業料・年額(円):267,600
・給付制奨学金:有、受給学生割合:76.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →標準修業年限の間、30歳未満の全学生に、月額14,100~39,200円を給付。世帯収入や親と同居か一人暮らしかなどの状況に応じて、月額33,600~36,500円の追加がある。

■オーストラリア

・授業料・年額(円):408,600
・給付制奨学金:有、受給学生割合:25.2%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →①24 歳以下が対象の若者手当、②25 歳以上が対象のAustudy、③先住民が対象のABSTUDYの連邦政府の3 つの主要な奨学金は、いずれも社会経済的状況が要件。

■ニュージーランド

・授業料・年額(円):411,000
・給付制奨学金:有、受給学生割合:20.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →18~65歳を対象とし、社会経済的状況を要件とする奨学金がある。給付額は、世帯年収や親と同居か一人暮らしかなどにより決まり、平均給付額は年額594,300円。

■イギリス

・授業料・年額(円):出世払い
・給付制奨学金:有、受給学生割合:48.7%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →4つの地域で異なる。スコットランドは無償。イングランドは平均で1,523,200円で出世払い。社会経済的状況を主な要件とし、年額最大590,600円の奨学金がある。

■韓国

・授業料・年額(円):561,800
・給付制奨学金:有、受給学生割合:32.6%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →給付制奨学金には、所得水準に応じて国から給付されるⅠ種と国から補助金を受けた大学が運営するⅡ種がある。「授業料半額」の公約のもとに給付制奨学金を急速に拡充。

■カナダ

・授業料・年額(円):570,800
・給付制奨学金:有、受給学生割合:35.1%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →主要な連邦政府の奨学金は社会経済的状況を要件とし①低所得世帯に月額23,900円②中所得世帯に月額9,600円を給付する。家計の教育資金積立への支援制度もある。

■アメリカ

・授業料・年額(円):879,800 
・給付制奨学金:有、受給学生割合:47.6%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →授業料の額は、4年制国公立機関における州内出身者の平均。奨学金の値は、連邦政府の奨学金の4年制機関における受給率。平均給付額は465,200円(2011/12年度)。

■日本

・授業料・年額(円):535,800
・給付制奨学金:無、受給学生割合:0.0%
・国公立大学などの授業料や給付制奨学金制度の概要など
 →初年度納付金は、国立は入学料と授業料で約82万円(標準額)、私立は施設整備費も加算して約131万円(平均)。国による給付制奨学金はない。

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