トランプ大統領の公約と現在の実現状況は?

この秋になると、米国では来年2020年11月の大統領選に向けた様々な動きが出てきます。そこで今回は、トランプ大統領が就任前後に掲げた数々の公約(=政策)について、その内容を再確認すると同時に現状についていろいろ調べてみました。

対外貿易関係

トランプ大統領は常々「米国は不利な貿易協定で損をしている」と言っています。そのため、以下のような政策を掲げました。

  1. TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの脱退

    大統領就任直後の2017年1月に、実際に「TPP離脱」を通知。安倍政権はこのTPPが日本経済に大きくプラスの効果があると非常に期待していた。そのため、安倍政権は米国を除く11カ国で実現させようと現在は躍起になっています。

     *TPP →オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムの計12カ国による包括的な経済連携協定のこと。具体的にはTPP加盟国間での輸入関税を撤廃し、より自由に貿易を行えるようになる。

  2. NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉

    昨年秋に3カ国間で再交渉に対して合意に達し、現在は各国間で交渉中。一見、日本には関係ないように見えるが、実際には日系企業の多くがカナダやメキシコに工場を持ち、そこで精算したものを米国に輸出しているため、再交渉の結果次第では日本にも影響を与えます。

     *NAFTA →米国、カナダ、メキシコの3カ国間で、1994年に発効した自由貿易協定のこと。

  3. 中国への45%の関税導入

    これは、米国の貿易赤字が年間80兆円以上もあり、その半分が対中貿易赤字であるため、それを是正するための施策。その第一弾としてトランプ政権は2019年5月9日に、中国から輸入する2000億ドル分の製品に対する関税を10%から25%に引き上げると発表し、しかもその発表の翌日である5月10日から実施しています。この対中制裁はすでに第4弾まで発表されています。また、中国サイドも米国からの輸入品に対して報復関税を発表しており、完全に貿易戦争状態にあるのが現状です。この経済超大国の2国の貿易戦争は、少なからず世界経済全体にマイナスの影響を与えるため日本も戦々恐々としているのが現状です。

移民・入国関係

トランプ大統領は、メキシコを中心とした不法移民が米国人の雇用を奪ったり、テロ対象の国からの入国・移民が米国の治安を脅かしているとし、それを防止するために、以下のような政策を掲げました。

  1. メキシコ国境に「壁」の建設

    約1兆円に上る壁の建設費用の議会承認が取れないため、この冬トランプ大統領は壁を建設費用を議会承認を得ずに確保するため、国家非常事態を宣言すると発表。また、一部の地域ではすでにフェンス建設は始まっており、トランプ大統領は任期中(2020年12月)に400マイル(約600キロ)の新たな壁をつくると宣言しています。
    結局、民主党の反対(=議会の反対)を無視し、壁の建設は進んでいるようですね。

  2. 不法移民への取り締まり強化

    この政策はトランプ大統領の指示に従い、米国土安全保障省を中心に非常に厳しく実施されているようです。具体的には不法に入国した移民について調&家宅捜索して本国に送り返しているそうです。そのため、不法移民収容施設はパンパンの過密状態で危険な状態になったため、トランプ大統領は「裁判所の手続きを経ずに不法移民を素早く強制送還できる」新たな制度を導入しました。

テロ・イスラム対策関係

就任前後のトランプ大統領は、この「テロ・イスラム対策」に対してはかなり積極的に対応していたが、最近はややトーンダウンしているように感じます。

  1. ISIS(=イスラム国)の壊滅

    米軍やイラク軍及び欧州各国軍の攻撃により、2018年にはイラクやシリアのISISはほぼ壊滅されているようですが、しかしISの戦闘員・支持者はすでに世界中に分散していると言われ、最近は再び世界各地でISによるテロが発生しているのが現状です。さすがのトランプ大統領も、米国内以外は打つ手がないのが現状のようです。

  2. テロ対象の国からの移民禁止

    トランプ大統領は就任直後にテロ対策強化の一環として、中東やアフリカの7つの国の人たちの入国を一時的に禁止する大統領令に署名しました。対象となったのは、スーダン、シリア、イラン、イラク、リビア、マリア、イエメンです。しかし、この政策については人道上の問題やイスラム教徒を狙った差別的なものだとして国内外で批難の声が上がり、ほとんど動いていない様子です。

  3. イスラム教徒の登録制度の創設

    これは、イスラム教国からの移民を対象に何らかの登録制度を設ける政策ですが、市民団体等から強く反対され、ほとんど手つかず状態の様子。

  4. モスクの監視

    トランプ大統領は就任前から、テロ対策の一環として治安部隊によるモスクの監視が必要であると主張しているものの、イスラム勢力からの非難が強く、ほとんど手つかず状態の様子。

  5. アフガニスタンでの米軍維持

    この政策は昨年末に方針転換され、約1万4千人にのぼる駐留米軍は完全撤退する。まずは、2019年中に半数に当たる約7000人の米兵を撤退させるらしい。

国内経済関係

  1. 個人と企業の大幅な減税

    トランプ政権は景気刺激策として、法人税率を大幅に引き下げなどで、10年間で1兆5千億ドル(約170兆円)の減税を行うと発表しています。実際に2018年の法人税はそれまでの35%から21%にまで引き下げられました。
    また個人の所得税も、最高税率が39.6%から37%に下げ、日本の基礎控除にあたる概算控除倍増、子どもを持つ世帯の控除も拡大するなど各種減税策を実施しました。
    さらに最近では2020年の中間選挙をにらみ、各種追加減税策を検討しているようです。
    増税ばかりの日本から見ると羨ましい限りですね。

  2. 国内インフラの改善

    昨年、トランプ政権は今後10年間で1兆5,000億ドルのインフラ投資計画を打ち出しました。ただ、連邦予算は2,000億ドルしか拠出せず、残りは州・地方政府や民間部門の支出を促すつもりです。そのため、議会の支持を得られるかは不透明な状況のままです。

  3. 2,500万人の新規雇用創出

    トランプ大統領は、前述の大幅減税や大規模インフラ投資をはじめ様々な施策により、国内経済の再生を図ることで、実質GDPで4%の経済成長を取り戻し、次の10年に2,500万人の新しい雇用を生むという計画を描いています。まあ、この公約については実現したかどうか誰にもわからないような気がします。

  4. オバマケア廃止

    民主党や市民団体の反対に阻まれなかなか進まないオバマケア廃止ですが、この春トランプ大統領はオバマ前民主党政権が導入した医療保険制度(オバマケア)に代わる新たな制度の議会採決を、2020年の大統領選の後に先送りする方針を発表しました。まあ、この公約実現はさすがのトランプ大統領も半ば諦めているようですね。

上記以外にも、「アメリカ軍再構築」「銃規制緩和および撤廃」「新たな教育プログラム導入」など様々な公約を掲げていますが、なかなか進んでいないものもあるようです。

何かと世界を騒がせることが多いトランプ大統領ですが、いまのところ大した問題も起きておらず、政権としての成否はつけれない状態ではないのでしょうか。
みなさんはどう思いますか?

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