電通での過労死労災認定について

最近、マスコミではNHKを中心に民放や一般紙誌でも「電通の過労死が労災認定」の問題を扱っています。
自分が代理店で働いていた10数年前には・・・、
第一報こそ、小さく扱われても(マスコミとしての責任感か、いつもいじめられている些細な抵抗か?)、その後深掘りされることはなく(あとが怖いですよね!)、日々の新しいニュースの中ですぐに忘れられるのが常でした。

でも、ネットの一般普及で「マスコミが騒がなくてもネット上で一般人が騒ぐ」になったので、マスコミ報道も変わってきたようですね。

 

■ 大手広告代理店が引き継ぐDNA!

広告代理店は、一般消費者をターゲットした様々な広告やイベントの企画・運営をしていますが、
その活動の資金源は100%一般企業や政党、公官庁です。つまり、典型的なB2B企業なのです。

そのため、長年この業界で働く人には、お馴染みの言葉・・・

“士農工商・・・犬猫・・・代理店” 

というものがあります。
この意味は・・・、「犬や猫よりも代理店の社員には自由がない」ということです。
クライアントは神様、「黒いもの」でもクライアントが「白だ」と言ったら「白」なんです。

また、電通には、戦後間もない頃に、4代目社長の吉田秀雄氏によってつくられた「電通マン」の行動規範、「吉田、鬼十則」と呼ばれるものがありました。

<吉田、鬼十則>

1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

いやー、ごもっともな内容。
ただ、本当にこれについていけるのは、あの優秀な電通社員でも10人に1人もいないのでは?

電通の不幸な過労死事件。本当は、上司自身がまず「鬼十則」を守らなければならないのに、まだ経験も少ない若い部下にだけ押しつけてた結果では・・・。

 

■ 代理店特有な変わった業務内容と社員への負担

100% B2Bビジネスである 代理店の業務内容は、業界関係者以外には意外と知られていないと思います。簡単にご説明しますと・・・

 一般的な家電や IT 商品など のロンチ(新発売)キャンペーンの場合、担当営業を中心に社内の様々な部署の人間が集まり、プロジェクトチームを組みます
具体的には、営業、キャンペーンプランナー、クリエイティブ(平面、ムービー、ネット)、セールスプロモーション(大規模イベント、店頭)、 メディア(TV、新聞、雑誌、ラジオ、交通広告、ネット)、パブリシティなどなど。
通常、この様々な「人種」の集まりは、社内チームだけでも、総勢20~30人くらいになります。
また、それぞれの専門部署が組む「外注先」の人たちを入れると、軽くこの倍ぐらいの人数のチームになります。

そのチームの中心にいる担当営業は、それぞれの部署のミーティングに参加しなければならないので、とにかく時間がありません。

広告代理店時代の自分は、営業ではなくスタッフだったので、いつも馬車馬のように走り回っている担当営業の姿を見て、「絶対に営業にはなりたくない!」と思っていました。

さらに営業を苦しめる2つの代理店ならではの特殊な要因があります。

一つは、平日の勤務時間です。
元来、クライアントはメーカーさんが多く、朝が早い。一方、 夜行性のクリエイティブスタッフとの深夜ミーティング。
まあ、部長や局長クラスになれば、若い部下に「任せた!」と一言いい、ドロンすることもできるが・・・、若い部下はそうも行きません。

もう一つは、土休日の勤務です。
一般的に様々なイベントは、土休日に行われます。すると、 担当営業はクライアントのイベントに立ち会わねばなりません。そのため、家族のいない独身の営業は毎週のようにイベントに借り出されます。

他にも、夜や休日のクライアント接待。仮に、自分がゴルフに参加しなくても、早朝からクライアントのご自宅に行きお見送り・・・。

代理店業界の場合、本当に、地獄のような日々を送り続けている若手営業は多いと思います。

 

今回の電通のように、ある一定の時間になると、管理部門が 無理やりビルを消灯し、社員を帰らせようとしてもまったく意味ないでしょう。

代理店の仕事の締切は絶対ので、仕事が終わらない社員は会社を出て外注先に行き、そこで朝まで仕事するだけでしょう。

電通だけではなく、代理店業界全体が既存メディアの媒体マージン依存型の収益体質から、業態変革による新しい収益源に移行していくことが、若い貴重な人材のためだと思います。

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