自分は神奈川育ちのだったので小さい頃から「アユ」は塩焼きでよく食べていた非常に馴染みのある川魚でした。ただ、大人になってからはずーっと東京住まいだったのでここ40年以上も「アユ」にはお目にかかったことがありません。
そんな「清流の女王」とも呼ばれている「アユ」ですが、皆さんは「アユの漁獲量が多い都道府県」というと、どこを思い浮かべますか?
自分は、昔から「アユといえば神奈川名産」と聞いて育ったため、神奈川県を以外は思い浮かびませんでした。しかし、意外にも・・・神奈川県は4位でした。
1位は琵琶湖のある滋賀県!
自分は子供のころから、「アユの稚魚は海で育つ」と教わっていたので、海がなくしかも海に通じるような川もない滋賀県が1位と聞いてかなり驚きました。2位は栃木県、3位は茨城県、そしてその次が神奈川県で5位は岐阜県です。実はこの5県で全体の7割以上も占めており、どうやら毎年この5県でトップ争いが行われているようです。また、絶対に上位にランクインしていると思っていた「静岡県」ではアユがほとんど漁獲されていないことも意外でした。
ちょっと話は横道にそれますが、実は滋賀県のアユ(琵琶湖産)は自分が知っているアユとは異なった種類らしく、成魚になっても川を遡上するころでも体長は10cmほどにしかなく「コアユ」と呼ばれるそうです。また、この種のアユは海には下らずにずーっと淡水で育つそうです。個人的にはアユは30㎝ぐらいあり、釣ったその場で串に刺して塩焼きするものというイメージが強いのですが・・・皆さんはどう思いますか?
≪2021年度 天然鮎の漁獲量≫ (出典:農林水産省)
都道府県 | 漁獲量t | シェア% | |
---|---|---|---|
1 | 滋賀 | 315 | 17.0 |
2 | 茨城 | 309 | 16.7 |
3 | 栃木 | 299 | 16.1 |
4 | 神奈川 | 231 | 12.5 |
5 | 岐阜 | 206 | 11.1 |
6 | 高知 | 106 | 5.7 |
7 | 愛媛 | 77 | 4.2 |
8 | 富山 | 54 | 2.9 |
9 | 大分 | 51 | 2.8 |
10 | 徳島 | 30 | 1.6 |
全 国 | 1,854 | 100.0 |
ここ30年でアユの漁獲量は1/9にまで減少!
下記のグラフは「天然アユの漁獲量の推移」(出典:農林水産省)です。これを見ると、意外にも1991年までは稚魚や成魚の放流管理などの甲斐もあり漁獲量は順調に増加していたのですが、その年を境に急落下に転じ、2006年にはピーク時の1/6にまで減少してしまったのです。その原因は「冷水病(低水温期の稚魚に発生し、死亡率が高い病気)」という北米のマス類の病気が急速に全国の河川に広がったためだそうです。その後も各種外来生物の増加の影響も加わり、最近ではピーク時の1/9の2,000トンにまで落ち込んでいるのが現状です。なんか、1990年以降の経済のグローバル化に負けて衰退してきた日本そのものと同じように見えますね。これじゃ、アユの塩焼きを見なくなったのも当然ですね。
天然アユが一番多く獲れる川は?
都道府県単位見ると前述したように、アユ№1は滋賀県ですが、「河川」単位で見ると実は関東の「那珂川(なかがわ)」なのです。この那珂川は栃木県北部の那須岳山麓を源とし同県と茨城県を流れて太平洋に注ぐ、関東地方第3の大河で関東随一の清流として知られています。流域はそのため、初夏には栃木県から茨城県にかけての広い地域で天然アユが遡上し、今でも天然アユの友釣りを楽しむ釣り人で賑わっています。