米国や英国では、「ロックダウン」と「迅速なワクチン接種」により、ここに来てやっとコロナ禍の出口が見え始めました。そこで今回は、「コロナ後の世界経済と日本」についていろいろと調べてみました。
主要先進国では2022年には経済は成長軌道に!
下の表は、世界経済の番人とも言われる「国際通貨基金(IMF)」「経済協力開発機構(OECD)」「世界銀行」の発表した世界及び主要先進国のGDP予測値(2019年は実績値)です。
■世界全体
IMF | OECD | 世銀 | |
2019年 | 2.8% | ||
2020年 | -3.5% | -4.2% | -4.3% |
2021年 | 5.5% | 4.2% | 4.0% |
■ユーロ圏
IMF | OECD | 世銀 | |
2019年 | 1.3% | ||
2020年 | -7.2% | -7.5% | -7.4% |
2021年 | 4.2% | 3.6% | 3.6% |
■日本
IMF | OECD | 世銀 | |
2019年 | 0.7% | ||
2020年 | -5.1% | -5.3% | -5.3% |
2021年 | 3.1% | 2.3% | 2.5% |
■アメリカ
IMF | OECD | 世銀 | |
2019年 | 2.2% | ||
2020年 | -3.4% | -3.7% | -3.6% |
2021年 | 5.1% | 3.2% | 3.5% |
■中国
IMF | OECD | 世銀 | |
2019年 | 6.1% | ||
2020年 | 2.3% | 1.8% | 2.0% |
2021年 | 8.1% | 8.0% | 7.9% |
これらの機関の予測を見る限り、コロナパンデミックの経済への影響は2020年で収まり、今年2021年にはどの国もパンデミック前の2019年よりも良くなるようです。しかしながらその背景にあるのは、世界各国政府によるの莫大な額のコロナ経済対策です。健全な経済活動の結果での成長ではなく、コロナ世界恐慌が起こることを恐れた各国政府が国債などの公的債務発行で無理矢理作り上げた数字なのです。まあ、「ガラスの城」のようなものですね。
想像を絶するような世界のコロナ対策費
国際通貨基金(IMF)によると、新型コロナウイルス感染症に関連した世界各国の経済対策費用の総額は、昨年末(2020年末)時点で約1400兆円だそうです。しかし、各国では今年に入ってから次々と昨年並みの追加対策費を計上し始めているのでまだまだ増加していくのが現実です。実際、米国のバイデン大統領は先日約200兆円の追加コロナ経済対策を決めました。きっと、ワクチンのお陰でコロナ禍がこのまま順調に年内にほぼ収まったとしても、まだ1000兆円以上のお金がコロナ対策に注ぎ込まれるのはほぼ確実でしょうね。
世界全体のGDPが約9000兆円であることを考えると、このコロナ対策費がいかに異常な額であるかがわかると思います。
ちなみにこれまでに最も多額の資金をつぎ込んだ国は米国で、その額はなんと約440兆円。その主な使途はというと・・・
・現金給付2回 ※高額所得者は除く
・失業給付の拡充
・低所得世帯の家賃補助
・食料補助の増額
・中小企業支援
・医療従事者支援
・ワクチン研究・開発・供給支援
となっています。日本と違い「弱者」と「医療分野」の支援に徹底してますね!
この米国の次に多いのは日本で約240兆円、3番目がドイツで約160兆円だそうです。
コロナ対策費の大半は借金!
各国政府が必死に行っているコロナ対策の費用の大半は、当然のことながら何の裏付けのない、国債の発行によって賄われる公的債務(=借金)です。ご存知の通り、コロナ禍以前より多額の政府債務を抱える国はたくさんあります。
IMFによれば、世界の政府債務残高はコロナ禍が発生する以前の2019年時点で8000兆円以上もあり、恐ろしいことに世界のGDP合計額そのものに迫っているそうです。これは家計に置き換えて考えると、「1年分の給料をまるまる前借りして生活している」といるということです。
このような財政状況をIMFは、「過去最悪の水準」と危惧しています。
2019年の主要国のGDPに対する政府債務の比率を見てみると・・・、日本が258%と突出していて、米国が128%、ドイツは70%、中国が65%となっています。なんと、日本は2年半分の給料を前借りして何とか自転車操業している状態なのです。10年ほど前に財政破綻したギリシャですら当時の債務比率はの176%だったのに!
下のグラフは主要先進国の政府債務比率の推移です。(出典:OECD)
日本は1991年のバブル崩壊時には他国と同様に6-70%でしたが、その後右肩上がりに国の借金は増え続け、1998年には100%越え、さらにその13年後の2011年には200%も越えてしまいました。そして2019年時点で258%、額にして約1100兆円です。
なかなか日々日本で暮らしていると、自分の国がいかに他国に比べ異常なのかは気がつきませんが、実は我が国日本はとんでもなく異常な借金づけ国家なのです。
さらに恐ろしことには、コロナ対策費は日本も公的債務の発行で賄われます。その額は既に昨年度で約240兆円、恐らく今年度も同程度は注ぎ込みざる負えないと思われます。もうお分かりかと思いますが、ワクチンのおかげでこのまま順調に年末までにコロナが収束したとしても、日本には1600兆円近いが残ることになるのです。この時の日本の政府債務比率は350%を越えます。
そんな借金まみれで超高齢化社会に突入していく日本を、本当に世界の金融マーケットは許してくれるのでしょうか?
ちょっとしたことがきっかけになり、蜘蛛の子を散らすように世界中の資本が日本から逃げ出してしまうのではないでしょうか?


















