コロナに振り回され続けた今年(令和3年)も、早いもので残すところ1ヶ月半。4年ぶりの総選挙も終わり、当面の間はこれまでと同じ自公連立政権、しかも明らかに時代遅れな老害大物議員が後ろで糸をひく傀儡政権が日本の舵取りをしていくことも決定しました。
日本国民なら誰でもが感じている「日本の将来に対する不安感」を自分も強く抱いているため、最近は日本の将来予測に関する書籍を手当たり次第読みあさっています。今回はそのような本の中から比較的気軽に読める池上彰・半藤一利の共著の“令和を生きる” という本をご紹介します。
著者の池上彰と半藤一利は何者?
まずは「池上彰」の方ですが、こちらは知らない人はほとんどいない日本のTV界を代表するジャーナリストです。元々はNHKの社会部記者やニュースキャスターだったのですが、2005年(当時55歳)に退職したことを機にフリージャーナリストとして各種民間メディアで活動しています。NHK時代に培ってきた知識特に政治経済分野については詳しく、当初はテレ東やテレビ朝日の報道番組でコメンテーターやMCと活躍していたのですが、ここ数年は日テレ、TBS、フジテレビなどにもちょくちょく出演しています。
キャラ的には柔らかく庶民的なのですが、番組内での発言は現政権や官僚に対するきつい批判的なものも多いのが特徴です。ただ、NHK時代も含め国際畑での経験は乏しく、グローバルマターに関する発言はやや薄っぺらさを感じざる負えません。個人的には日本人ジャーナリストの中では最も信用出来る一人だと思っています。
一方の半藤一利は、自分はこの本を読むまでは、全く聞いたことがなかったのですが、調べてみると1930年生れ(2年前に90歳で他界)日本の政治ジャーナリストの重鎮の一人ようです。文藝春秋の記者から始まり40,50代には文藝春秋の編集長を務め、昭和史特に太平洋戦争については知識が豊富で業界では一目置かれる存在だそうです。
この本の特徴とおすすめポイント
この本は池上さんの本によくある対談形式で最初から最後まで書かれており、極めて著者の主張が見えにくくなっています。ただ、“失われた30年”と言われる平成時代における政権と日本国民の過ちについて解かりやすく書かれているので時代を振り返るのにはいい本だと思います。しかしながら、タイトルのショルダーに書かれている“平成の失敗を乗り越えて”・・・、いったいどうすればいいのか?という面ではほとんど何も書かれていないと言えるでしょう。
まあ、「個々人のこれからの歩むべき道は、歴史を冷静に見つめ一人一人が自分で考えなさい」というのがこの本からの唯一のメッセージです。多くの現代日本人にとっては食い足らない本と感じるかもしれません。ただ、20,30代の若い人達が平成時代の世界の動きをグローバル目線で捉えなおすという面では取っ付きやすい本だと思います。
読後の感想
正直言って平成時代にグローバルビジネスの最先端で世界中を飛び回っていた自分にとっては退屈な一冊でした。特に最終章が「日本人に天皇制は必要か」というのもこの本の視点を不明瞭にしていると思います。まっ、対談相手の重鎮に気を遣ってなんでしょうが・・・、完全に企画編集サイドの失敗でしょうね。
個人的にはもう少し池上彰さんの個人的主張が書かれていることを期待していたので残念です。
https://feel-japan.net/?p=7592












