自分はもうかれこれ3年近く電動車椅子Whill c2を愛用しており、これまで東京近郊の様々な観光地をJRなどの鉄道を使い一人旅してきました。しかし、「たまには遠出してみたい」と思い、先週四国の道後温泉に行きました。その際、電動車椅子で初めて飛行機に乗りました。しかも低価格が売りのLCCです。
これまで自分は、JALやANAのような普通の航空会社の飛行機には電動車椅子でも障害者割引運賃で利用できることは知っていましたが、「サービスを抑え低価格を実現しているLCCに自分のような手間のかかる客は搭乗できないだろう」とずっと思っていました。しかし・・・今回詳しく調べてみると、LCCでも予約さえ取れれば追加料金無しで普通のお客さんと同じように利用可能だということが判明したので、早速実際に利用してみました。
世の中には電動車椅子を使い生活している人の中には、自分のように「時間はあるが、お金は無い」けど、「たまには飛行機を使って全国各地を気ままに一人旅したい」と思っている方もいると思います。
そこで今回は、そんな方々の参考になればと思い、自分が今回の旅行で実際に経験したLCC(ジェットスター)とのやりとりや搭乗するまでの手順等を詳しく書き綴ってみました。
便の予約確定まで
利用便の予約作業
この段階では、通常の予約方法と同じように氏名や年齢、連絡先、希望の便等を、直接ジェットスター公式ホームページから往復(片道でもOKです)の予約をごく普通に入力します。ただし、この際の予約手続きの最後のほうで「特別な介助が必要かどうか尋ねられる」ので「車椅子利用者でサポートが必要ある」と回答します。これを忘れると普通のお客と判断され、当日車椅子での搭乗は断わられてしまうのでご注意ください。
細かい車椅子情報の伝達と審査
ここで一旦予約作業は終わりますが、どうやらこの段階ではまだ「仮予約」のようで、直ぐに航空会社の方から登録したメールアドレスにメールが入り、「車椅子のタイプ、サイズ、電動式ならバッテリーの種類や重さなど」車椅子の取扱説明書を見ないととても答えられそうもないかなり細かい点まで尋ねられます(=電動車椅子仕様確認書への記入)。ジェットスターの場合は、この作業を原則として搭乗日の「5日前」に済ますことが求められます。その後、1-2日すると航空会社の方から「承認番号の入った使用確認書」がメールされてきます。この段階で正式に予約が確定し搭乗や車椅子の預かりをしてもらえるようになります。
一見すると大変そうですが、2-3回のメールやり取りできるので簡単です。逆にあまりにも簡単なので「本当にこれで搭乗出来るの?」と実際にとチェックイン手続きを完了させるまでやや不安でしたが、何の問題もありませんでした。
費用や制限事項について
ジェットスターの場合、以下の条件を満たしている電動車椅子は追加料金なしで預かって貰えます。
●サイズ・重量
幅 | 高さ | 長さ | 重さ | |
Boeing 787型機 | 1.5m | 1.6m | 1.5m | 32kg |
Airbus A320/A321型機 | 1.4m | 1.0m | 1.4m |
●その他
車椅子利用者の搭乗は1フライト2名まで
※この他にもいろいろと細かい制限があるようですが、これらは「原則として」のようで、自分の電動車椅子Whill C2は50kg以上の重さがあるのですが、無料でした。とにかく予約の時点で航空会社のスタッフにいろいろ相談することですね。
搭乗当日
搭乗当日は、出発時間の90分前までにチェックインカウンターに来るように指示されます。
チェックイン作業
カウンターにいるジェットスターのスタッフに声をかけると「承認番号の入った使用確認書」の提示を求められます。これは事前にジェットスターから送られてきたスマホ内にあるメールを見せればOKです。
その後、普通にチェックイン手続きや預け手荷物手続きを行ないます。そして最後に電動車椅子の預け作業です。
まず、機内持ち込み荷物だけを持ちジェットスターのスタッフが用意してくれた車椅子に乗り換えます。この車椅子は機内の狭い通路でも通れる特別仕様の小型のもので、自走はできませんし乗り心地も××ですが、しょうがないですね。今回の自分の電動車椅子Whill c2はリチウムイオン電池なので預けることは出来ず、ここで車椅子から外し機内持ち込み荷物の中に入れます。そして最後にスタッフが電動車椅子の重量を計測して終わりです。所要時間はここまで約10分程度でした。
この後、ジェットスターのスタッフにサポートされ手荷物検査場を通り、搭乗ゲートまで移動しそこで一度ジェットスターのスタッフと別れ、搭乗時間まで30分ほど一人で待ちました。
搭乗から離陸まで
その後、搭乗準備が整うと再びジェットスターのスタッフが現れ、いよいよ機内へ搭乗するのですが・・・、驚いたことに搭乗橋(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)がなく、バスで駐機場まで移動し、タラップを上る方式だったのです。自分はタラップは上がれないので、通常預け荷物を飛行機に積み込むときに荷台全体がリフトする車を利用し車椅子に乗ったまま機内に乗り込みました。これには、本当に驚きました。ちなみに到着地の松山空港ではボーディング・ブリッジがあり、搭乗ゲートから機内までの移動は10秒程度で非常にスムーズでした。後から知ったのですが、ボーディング・ブリッジがない搭乗ゲートを使用しているのはLCCだからのようです。まあ、成田の発着枠もパンパンで急遽LCCの為に第三ターミナルをオープンさせたわけですから仕方がないですよね。ただ、今どき先進国の国際空港でボーディング・ブリッジがない搭乗ゲートを使用しているとは、恥ずかしい気もしますが・・・。
さて話を戻しますが、機内に入ると自分の席の横まで車椅子で送ってくれるので、そこで座席に移りシートベルトを締め搭乗完了です。完全なる優先搭乗のようで他のお客さんはまだ1人もおらず、自分が着席してから1-2分もすると、他のお客さんが次々に搭乗してきました。ちなみに行きも帰りも座席は前から2番目の通路側=2Cを用意して頂き、2Aも2Bも空席でした。
最後に到着地の松山空港着陸後ですが・・・、
全てのお客さんが降機し終わると、松山空港のジェットスターのランドスタッフが専用車椅子を持って機内に乗り込んできてくれるので、それに乗りボーディング・ブリッジを通り、荷物のターンテーブルのところまで行きます。そこには預けた荷物と電動車椅子が用意されており、機内持ち込み荷物からバッテリーを取出し車椅子に差し込んで貰い乗り換えました。ここまででジェットスタースタッフのサポートは終了します。着陸してからここまで15分程度でした。
今回、電動車椅子で初めての航空機、しかもLCCの利用でしたが、非常に安い料金でここまでして頂いて感謝以外の何もありませんでした。
ここでは、なお、自分は麻痺の関係で言語障害がある為、各種やり取りは全てネットでやりましたが、当然のことですが電話を通じてでも可能なようです。また、チェックインカウンターに行って電動車椅子を預けてから、到着地で電動車椅子に乗るまではトイレや買物は一切出来ないのでご注意ください。
参考)成田空港第三ターミナルの行き方
最後に、今回自分も初めて利用したLCCが使用している「成田空港第三ターミナル」への行き方についてご説明します。
成田空港を利用する大半の人は、JRもしくは京成電鉄の空港第2ビル駅を利用すると思いますが、両方とも改札を出るとすぐ目の前に第三ターミナルビルへの道案内看板があるのでまず迷うようなことはないでしょう。第二ターミナル駅から第三ターミナルビルまでは徒歩か空港内移動バスで移動しますが、たかだか500m程度なので、自分は電動車椅子でそのまま移動しました。仮に成田空港が初めての人でも、まあ30分も見とけば余裕です。また、雨が降っていても濡れる心配はありません。
参考) 最終的にかかった費用
最後に今回の道後温泉旅行でかかった交通費をまとめてみると、以下の通りでした。
・往復の航空運賃 → 15,680円(含む空港使用料、預ける荷物料)
※これはJAL等の障害者割引適応後の正規運賃の半分以下です。
※LCC場合、電動車椅子は無料でしたが、通常の預け荷物は有料なので注意してください。
・成田空港までの往復の電車賃 → 約3,200円
・松山空港から宿までの往復の交通費 → 約1,000円
合計 約20,000円
LCCってほんと安いですね。今回で電動車椅子でも利用できることが分かったので今後もどんどん活用していこうと思います。


















