米国の貿易赤字削減政策と人民元の行末は?

国際情勢

 

昨日、ウォールストリートジャーナルHPを見ていると、「世界の投資家、中国買い控える。貿易戦争を懸念」というタイトルの記事がありました。

貿易のような「経済戦争」ならば、トランプ大統領は百戦錬磨の名将のはず。さらには、トランプ政権の中枢には、あの「ハゲタカ」と呼ばれたゴールドマン・サックスの元幹部たち。

ということで今回は、 トランプ大統領の対中経済政策について調べてみました。

欧米資本は、急速に中国から脱出

世界中の金融市場で、圧倒的な影響力を持つウォールストリートジャーナル紙は次のような記事を載せています。

中国の株式市場は近年で最大の上げ相場となっているが、世界の投資家の多くは中国市場に姿をみせていない。貿易や通貨政策をめぐって米国と衝突する可能性が、世界最多の人口を抱える中国に暗い影を投げ掛けている証しだ。(中略)
それでも外国人投資家の多くは、中国への追加投資を手控えていると述べる。その理由は中国からの資本逃避、債務増大、そして経済成長鈍化だ。

トランプ問題がなくても、中国経済は成長鈍化による景気の後退という不安要素を抱えています。そこへ、トランプ大統領の攻撃的な中国政策が実施されたら・・・、
ということで、今後の中国経済の先行きは、全く見えなくなってきているようです。

米国の貿易赤字額の半分弱は中国

下のグラフは米国の貿易赤字の推移とその主な相手国を表したグラフです。
これを見ると、中国との貿易赤字は急増しており、現在では米国の貿易赤字額の半分ぐらいを占めています。

データ出典) 毎日新聞2017年2月10日

ここまで中国比率が高いと、確かにトランプ大統領の言うとおり、米国にとって中国との貿易不均衡の問題は放っておけない大きな問題だと思います。
トランプ大統領は貿易不均衡の問題で、日本やメキシコの名前も挙げていますが、このグラフを見る限り、日本やメキシコからの輸入を多少抑えても、米国の貿易赤字額全体はあまり減りません。

やはり、トランプ大統領の本当の標的は中国なのでしょう。
きっと、「一国集中攻撃はまずい」と考え、日本やメキシコの名前も出しているのでしょう。

トランプ大統領の狙いは「プラザ合意」の再現?

次に、トランプ大統領の言っている「為替相場」を見てみました。
下のグラフは、米ドルと人民元の為替レートの推移を表したものです。

これを見ると、1980年代は人民元の価値はどんどん高くなっていますが、なぜか90年代以降は、ほとんど大きな動きはありません。


データ出典) 世界経済のネタ帳

一方、 中国の実質 GDP の推移を見てみると・・・

データ出典) 世界経済のネタ帳

グラフでもわかるように、 中国は1990年代から本格的に経済成長をしているのです。
つまり、中国はどんどん経済成長し続けているのですが、一方で、なぜか人民元の対米ドル為替レートはほとんど変っていないのです。

自分にはこの事実が、「単なる偶然」なのか、あるいはトランプ大統領の言うとおり、「中国政府による恣意的な為替操作」なのか、はわかりません。

レーガン時の日米貿易摩擦そしてプラザ合意の時は・・・

ちょっとここで、トランプ政権と似ていると言われているレーガン政権時の日米貿易摩擦の時の円ドルの為替レートのついて見てみました。

データ出典) KapokのWeblog

この時には、米国主導で欧米先進国が足並みを揃えてプラザ合意(1985年9月)という協定を結び、日本円と米ドルの為替レートの調整をしました。

プラザ合意後、急速に円高は進み続け、なんとたった1年で1ドル240円から160円にまで日本円は高騰したのです。

こんな為替レートでは、輸出立国である日本は、とても国を維持していくことはできません。そのため、経済が大混乱する最中、日本のメーカーはどんどん海外に製造拠点を移していったのです。
その結果が今の日本です。それまでは地方にあった様々なメーカーの工場がなくなり、結果的に地方に仕事がなくなってしまったのです。いわゆる産業の空洞化現象です。

このように常識では信じられないことを、力づくでやってしまうのが米国です。

自分は、トランプ大統領が必ず米ドルと中国元の為替レートを大幅に調整してくると思います。それも、信じられないような短期間でやってしまうと思います。

そうなった時の中国経済の行方と日本経済への影響が心配です。

 

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