2020東京オリンピック開催まであと半年を切りましたね。
TVでは連日オリンピック関連の報道をしてますが・・・、あまり盛り上がっていないと思いませんか?
自分は以前から、「2020東京オリンピック開催は、無責任な政治家たちの犯罪的行為」だと思っています。
そこで、今回は自分がなぜ2020東京オリンピックが失敗すると考えているかご説明します。
前回とは日本の人口構造が大きく変化
前回の東京オリンピックが行われたのは日本の高度成長期真っ盛りの1964年です。
世の中には多くの若者が溢れ、日本全体が活気に溢れていた時代です。
下図は、その1964年当時と2020年時の日本の人口ピラミッドです。
まず、1964年当時です。
この時代は、チャレンジ精神に溢れスポーツに関心の高い10代~30代の若者が、国民全体のなんと54.6%も占めていたのです。逆に、スポーツとは縁のなさそうな65歳以上の高齢者は、6.1%しかいないのです。
これじゃー、国民一丸となって盛り上がるのは当たり前でしょう。当時の自分はまだ4歳だったのでよくわかりませんが、きっと凄かったんでしょうね。
次に、超高齢化社会の2020年です。
10代~30代の若者の比率は29.9%で、65歳以上の高齢者の比率は28.4%です。
そうなんです、高度成長期と低成長期という時代背景だけでなく、人口構造が大きく異なっているのです。
これじゃー、いくらマスコミや政治家が騒ぎ立てようが、2020東京オリンピックは盛り上がりに欠けても当たり前でしょう。
多くの国民は自分たちの老後を心配し、オリンピックどころではないのです。開催地である東京はともかく、高齢者が多い地方では全く盛り上がらないのではないでしょうか?
1964年の東京オリンピックは「1兆円オリンピック」と呼ばれ1兆円前後の投資をしましたが、2020オリンピックはその倍以上の2兆円越えという莫大な投資です。
東京都では大会10年後の「2030年までの経済波及効果は32兆円で雇用創出は194万人」と言っていますが、きっと国民の多くは大会が終わったらすぐにオリンピックのことなど忘れてしまい、経済波及効果などほとんどないのではないでしょうか?
過去のオリンピックと比べても特異な2020東京
次に、ここ30年に行われた過去のオリンピック開催国の当時の人口構成を調べてみました。
下の表の若者比率は10代~30代の構成比、高齢者比率は65歳以上の構成比です。
開催年 | 開催都市 | 国 | 若者 比率 | 高齢者 比率 |
2016年 | リオ | ブラジル | 49.2% | 8.1% |
2012年 | ロンドン | イギリス | 38.2% | 16.4% |
2008年 | 北京 | 中国 | 49.2% | 7.8% |
2004年 | アテネ | ギリシャ | 41.1% | 18.1% |
2000年 | シドニー | 豪州 | 43.4% | 12.3% |
1996年 | アトランタ | アメリカ | 45.2% | 12.5% |
1992年 | バルセロナ | スペイン | 46.9% | 13.9% |
1988年 | ソウル | 韓国 | 56.6% | 4.7% |
1964年 | 東京 | 日本 | 54.6% | 6.1% |
2020年 | 東京 | 日本 | 29.9% | 28.4% |
2020年の東京オリンピックの数字は異常だと思いませんか?
日本のような若者比率と高齢者比率がほぼ同じような社会構造の中で行われたオリンピックなど過去にないのです。きっとごく一部の高齢者を除き、大半のお年寄りはオリンピックの競技など関心がないと思います。
日本のような超高齢化社会で、「スポーツの祭典であるオリンピック」を開催すること自体無理があるのです。
まあ、日本のことだからオリンピックは上手く運営していくと思いますが・・・、国民は莫大な投資(=税金)に見合った見返りを得ることは出来ないでしょうね。













参考)過去のオリンピック開催国の開催当時の人口ピラミッド
2016年 リオデジャネイロ(ブラジル)
10代~30代の若者の比率 49.2%
65歳以上の高齢者の比率 8.1%
2012年 ロンドン(イギリス)
10代~30代の若者の比率 38.2%
65歳以上の高齢者の比率 16.4%
2008年 北京(中国)
10代~30代の若者の比率 49.2%
65歳以上の高齢者の比率 7.8%
2004年 アテネ(ギリシャ)
10代~30代の若者の比率 41.1%
65歳以上の高齢者の比率 18.1%
2000年 シドニー(オーストラリア)
10代~30代の若者の比率 43.4%
65歳以上の高齢者の比率 12.3%
1996年 アトランタ(アメリカ)
10代~30代の若者の比率 45.2%
65歳以上の高齢者の比率 12.5%
1992年 バルセロナ(スペイン)
10代~30代の若者の比率 46.9%
65歳以上の高齢者の比率 13.9%
1988年 ソウル(韓国)
10代~30代の若者の比率 56.6%
65歳以上の高齢者の比率 4.7%
22年前の長野冬季オリンピックの費用は5,000億円
長野オリンピックは、72の国と地域から4,638人の選手・役員を迎え、大会期間中の延べ競技観戦者は約127.6万人と冬季大会としては過去最大規模のものでした。
この長野オリンピックにつぎ込まれた費用は・・・、
オリンピック招致活動費 25億5606万円
大会運営費 1070億から1080億
オリンピック競技、運営施設建設費 1,398億円
オリンピック関連道路建設費 2,479億円
で、合計で約5,000億円にもなります。
2020東京オリンピックは2兆円程度と言われてますが、「競技数や参加国・参加者が格段の差である夏のオリンピック」であることや「世界の大都市東京」であることを考えると、よく長野オリンピックが「ゼネコン五輪」と揶揄されたのもわかりますね。
一方、この長野オリンピック全体の経済波及効果は2兆円以上と試算されていました。ただ、その真実のほどは誰にもわかりませんが・・・。
負の遺産処理で苦悩する長野県
開催からたった2年後には、スピードスケート会場の「エムウェーブ」、アイスホッケー会場の「ビックハット」、フィギュアスケート会場の「ホワイトリング」など、オリンピック開催で新設された全ての関連施設が赤字経営に陥り、その後もさまざまな施設活用の施策を試すものの、現在でもその維持運用費が雪だるま式に膨らみ悲惨な状況のようです。
また、莫大な金をつぎ込み整備した「オリンピック関連道路網」も、需要がなくなった今では、イノシシも通らないぐらい閑散とした状況だそうです。
結果的に後に残されたものは、これらのオバースペックな施設と、20年経つ今でも長野県財政を苦しめ続けている2兆円もの県債残高です。
まさに、「負の遺産(レガシー)」ばかりの「長野オリンピック」だったようですね。

















