岸田総理は最近事あるごとに「G7議長国として・・・」というフレーズを多用していますが、いったいこの「G7議長国」とはどういう意味があるのでしょうか?自分が知る限りでは、2010年代でG7の役割は終わったというのがもはや世界の常識のハズなんですけど・・・。
そこで今回は自分の頭の中を整理するためにも、今一度「G7」と近年よく聞くようになった「G20」というものについていろいろと調べてみました。
そもそも「G7」って何?
「G7」自体は「Group of Seven」の略で、国際的には「先進7カ国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本、カナダ)」のことを示します。また、これら7カ国の首脳が一堂に会し行う国際会議のことを「G7サミット」と呼びます。
このG7サミットは、年一回その年の議長国(議長国自体は7カ国完全持ち回り制)の国内で開催する決りとなっており、今年(2023年)は日本の番なので岸田総理の出身地でもある広島市で今年の5月19日から21日まで開催されました。
このG7サミットの発端はというと・・・今から50年ほど前の1970年代前半、1971年のニクソン・ショック(ドル・ショック)や1973年の第四次中東戦争を機に勃発したオイルショックなどにより第二次世界大戦後初めての世界的な経済不況に直面した先進国の間で、『今後の世界経済を首脳レベルで定期的に話し合う場の必要』と認識されるようになり、当時のフランス大統領であったジスカール・デスタンの提案で、1975年11月にパリ郊外のランブイエ城において第1回目のG7サミットがフランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリアの6か国で開催され、翌1976年にカナダが加わり7カ国に、1997年にはロシアが加わり8カ国(G8)になりましたが、2014年ロシアのウクライナに対する軍事介入やクリミア半島掌握が問題視されたことで、ロシアの参加は中止となり、2015年からはG7に戻っているのが現状です。ちなみに今年の広島サミットで49回目になります。
大幅に低下したG7の影響力
G7サミットが始まった1976年当時は、G7の7カ国だけで世界全体のGDPの63%を占めていました(データソース=国連)。その後も20年あまりの間65%前後のシェアを持ち続け世界経済の動向に圧倒的な影響力を持っていました。しかし、2000年以降は中国を筆頭に新興国の急成長により、G7のそのシェアは40%近くまで低下してしまったのです。今後もG7のシェア低下は確実視されており、世界最大級のコンサルファームあるPwCでは2050年にはG7計でも中国を下回ってしまうと非常にショッキングな予想しています。
参考)世界のGNP上位20ヵ国内でのシェア構造
≪1990年(データ出典:IMF)≫
≪2050年(データ出典PwC:)≫
たった50年強でこんなに変わるとは・・・ショックです。きっとアメリカも、10年もしないうちに自国のポジションを維持するだけで手一杯で日本の戯言なんかを聞く耳なんて捨てているんでしょうね。日本も早くアメリカ無しの自力で世界を生きていく力をつけないと悲惨な結果が待っている気がしますが・・・。まるで「8050問題」の国家版だ。皆さんはどう思いますか?
今最も注目されているG20とは?
そもそもG20はG7の拡大版で、G7の7カ国にロシア、中国、インド、韓国、インドネシア、豪州、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの13カ国を加えた20カ国を示します。そしてこれらの国のトップが一堂に会するがG20サミットです。今となると、ただただ凄いメンバー、もしG20サミットが大規模テロや宇宙人に狙われたら・・・世界は終ってしまいそうですね。そんなG20サミットですが、最初に開催されたのはリーマンショック後の2008年11月にアメリカのワシントンDCで開催されました。以降、2010年まではほぼ半年毎に、2011年以降は年1回開催されています。
≪過去G20サミットの開催地≫
2022年(インドネシア・バリ)
2021年(イタリア・ローマ)
2020年(サウジアラビア・リヤド)
2019年(日本・大阪)
2018年(アルゼンチン・ブエノスアイレス)
2017年(ドイツ・ハンブルク)
2016年(中国・杭州)
2015年(トルコ・アンタルヤ)
2014年(オーストラリア・ブリスベン)
2013年(ロシア・サンクトペテルブルク)
2012年(メキシコ・ロスカボス)
2011年(フランス・カンヌ)
2010年(韓国・ソウル)
2010年(カナダ・トロント)
2009年(アメリカ・ピッツバーグ)
2009年(イギリス・ロンドン)
2008年(アメリカ・ワシントンD.C.)
G20サミットもG7と同じように議長国は持ち回り制なので、次に日本が議長国になるのは2040年。このころには経済大国や技術先進国の地位からは転落していることでしょうね・・・、寂しい!
過去に日本で開催されたG7サミットについて
これまでに日本では以下のような7回のG7サミットが開催されています。
通称 | 開催日時 | 当時の首相 | 開催都市 | |
1 | 東京サミット | 1979.6.28~29 | 大平正芳 | 東京 |
2 | 東京サミット | 1986.5.4~6 | 中曽根康弘 | 東京 |
3 | 東京サミット | 1993.7.7~9 | 宮澤喜一 | 東京 |
4 | 沖縄サミット | 2000.7.21~23 | 森喜朗 | 名護市 |
5 | 洞爺湖サミット | 2008.7.7~9 | 福田康夫 | 洞爺湖町 |
6 | 伊勢志摩サミット | 2016.5.26~27 | 安倍晋三 | 志摩市 |
7 | 広島サミット | 2023.5.19 – 21 | 岸田文雄 | 広島市 |
ちなみに安倍政権の伊勢志摩サミットでは、130億円以上も使ったのに何一つ具体的な決定事項は発表出来ず「成果ゼロ」と言われています。さすが無駄遣いの天才安倍政権。
前述した通り、もはや世界はG7主導の時代ではないのです。岸田政権もわが国の財布は空どこか借金だらけなんだから、「G7議長国」としてなどとカッコつけ無駄に金をまき散らさずに細々と済まして欲しいものです。きっと国民の大半はそう思っていると思います。どうせ日本が無理して何をしても、何も決まらないし、変わらないのだから!