東急多摩川線沿線を散歩 ~車椅子利用者にお薦めの大田区散歩コース

片麻痺ライフ

以前自分は子育てのために、東急多摩川線の西嶺町と下丸子に12年ほど住んでいました。当時の自宅はともに多摩川の土手まで2~300mほどで、緑も多く静かないいところでした。ただ自分が脳出血で倒れ片麻痺になってしまい階段の昇り降りができなくなったので、当時住んでいた戸建てからマンションに移らなければならなくなり、残念ながら長年暮らしてきた多摩川線沿線を離れました。しかし住み慣れた地域なので今でも月に二、三度は多摩川線沿線を車椅子で散歩しています。

そこで今回は、東急多摩川線沿線の車椅子利用者にお薦めの散歩スポットをご紹介します。

多摩川→せせらぎ公園→水路→松山公園→鵜ノ木→多摩川土手→ガス橋→武家屋敷→下丸子駅

今回ご紹介するのは、多摩川駅から下丸子駅までの全行程約3kmの短い距離ですが、のんびりするには最低でも2-3時間は見たほうがいいと思います。また、多摩川の土手沿いを歩くので真夏や真冬は暑さ、寒さがきついのでお薦めしません。まあ、個人的には梅や桜の木が多い地域なので早春の天気の良い日がいいと思います。

多摩川せせらぎ公園周辺

東横線&多摩川線の多摩川駅の改札を出ると、すぐ左手に「多摩川せせらぎ公園」という緑豊富な公園があります。昔はこの場所には多摩川園という遊園地があったそうですが1979年に閉園し、その後東急ラケット倶楽部という会員テニスクラブを経て、20年ほど前に区の公園として再整備され私たち一般人に開放されたそうです。以前自分は、近く住んでいたので毎週のように子供たちを連れて遊びに来ていました。ここ数年は大田区が公園内をいろいろと再整備し、3年ほど前に以前のテニスのクラブハウスだった建物を改良した無料休憩所に替えて田園調布せせらぎ館(基本的に無料)をオープンさせたり公園内の遊歩道を整備したりして、現在のような立派な公園に変わりました。なお、このせせらぎ館は世界的にも有名な建築家で、以前近くに住んでいたあの新国立競技場を設計した隈研吾氏が設計したそうです。 なお、園内は自然の中を散歩できる遊歩道がたくさんありますが、急な坂や階段も多く、車椅子で行けるところは限られます。

また、多摩川駅周辺にはほとんどお店がないので、飲み物やお弁当などを買う方は駅構内にある神戸屋か改札の目の前にあるコンビニで調達しておいた方がいいと思います。

多摩川園があった頃は、まだ自分は神奈川県に住んでいたのでそのその存在そのものを知りませんでした。
今は取り壊され跡形もありませんが・・・ 太陽の陽射しを浴びながらテラスや休憩室内でお弁当が楽しめた昔の休憩所。
昔は近所の人ぐらいしかおらずいつも空いていたので、 休みの日には子供たちをつれてよく遊びに来ていました。
以前テニスコートだったところも開放されており、いつもボール蹴りやキャッチボールに興じる子供たちや親子でいっぱいでした。
現在のせせらぎ公園のマップ。地図にある小さな池のほかに湧き水が流れる小川や小さな滝もあります。また、園内には至る所にコンクリートテーブルやイスがあります。
せせらぎ館と隣接するカフェ。手前の平屋部分が自然を眺めながら軽食が楽しめるカフェで、奥の二階建て建物がせせらぎ館本体です。 せせらぎ館を利用する方は奥にある入口から。
カフェ「ルシェロ」の入り口。各種手づくりパンやスイーツ類やパスタ、カレー各種が楽しめます。
カフェの中は驚くほど広々としているので、車椅子でも全く問題ありません。(出典:かまたマガジン
(出典:かまたマガジン
(出典:かまたマガジン
(出典:かまたマガジン
カフェの先にあるせせらぎ館の入り口。
せせらぎ館の1Fには趣味本を中心にかなりたくさんの本があり、大田区図書館の会員カードを持っていれば借りることも出来るようです。 また、読書スペースもかなり広く設けられています。今は夏休み中だったので、学生でいっぱいでしたが普段はガラガラです。
1Fの屋根付きテラスにはベンチがあり、ここで自然を眺めながらゆったりと寛ぐこともできます。
吹き抜けになっている2Fにもソファーベンチがあり1Fより人が少なく静かなので、自分はよくここで本を読んだり考え事をしています。
緑溢れる公園の木々。左端に見える建物がせせらぎ館です。 この日は雨あがりだったので緑の広場には誰もいませんが、いつもはシートを広げて寛ぐ人や遊びまわる幼児が何組かいます。

 

多摩川駅の反対側(多摩川側)100mぐらいのところには、800年以上の歴史を持ち、最近では映画「シンゴジラ」で何と“ゴジラ戦闘指令所”とつかわれた展望台が“聖地”として人気の多摩川浅間神社があるのですが、車椅子では入口付近までしか近寄れないので、この記事では扱いませんでした。 また、月替りのカラフルな御朱印が有名なので、ご興味のある方はお寄りになってみてもいいと思います。

多摩川浅間神社の入り口。線路側の歩道を歩いていると、ついつい見過ごしてしまう可能性もあるのでご注意ください。

六郷用水路

せせらぎ公園を出て多摩川線沿いに南に300m程行くと、中原街道をくぐる小さなトンネルがありその先には・・・区によって整備された幅1.5m程の「六郷用水路」が突然現れます。この辺りの水路にはたくさんの鯉が優雅に泳いでいて散歩する人の目を楽しませてくれます

水路の始まり地点を蒲田方向から撮った写真。奥に見えるのは歴史感漂う中原街道のトンネルです。
きれいな水の水路を泳ぐ鯉たち。春先にはよく鴨もいっしょに泳いでいます。
このような水路が3~400mほど続いています。

水路沿いを10~15分程行くと

突然水路の幅が広くなり小さな水車が現れます。この水車は最近改修されたもののようで・・・昔はもっと大きかったような気がします。
この辺りは亀が多く、天気のいい日はよく数匹の亀が重なり合って甲羅干しをしているのを見かけます。
水車の脇には藤棚のあるちょっとした休憩スペースがあり、その隣は福山雅治の名曲「桜坂」のモチーフになった「さくら坂」があります。
水車のある所から始まる「さくら坂」は毎年桜の季節には観光客で大変にぎわいます。ちなみに自分の子供は二人ともこのすぐ近くの保育園にお世話になっていたので、昔毎日のようにこのさくら坂を車やチャリで昇り降りしていた日々が懐かしいです。
昔は「さくら坂」も空いていて、いい散歩道でした。

この先新幹線のガードをくぐるまでの200mぐらいの間は、水路の本流は地下に潜ります。ガードを過ぎると密蔵院というお寺があり、再び水路が現れます。ちなみにこの密蔵院にはこの辺りでは珍しくしだれ桜があり、春には水路と相まって絶景を醸し出しています。

しだれ桜の下の散歩道は最高に癒されます。(出典:路傍学会

この先100mほど行くと水路と歩道の間の柵も無くなり、完全に両者は一体化します。そのため、ここから先500mぐらいはあちこちで子供たちが「さきいか」を餌にザリガニ釣りをしています。東京とは思えないのどかな風景です。

秋のかなり涼しい季節になっても、子供たちは水に手を突っ込んでザリガニ取りに夢中です。昔は小魚もいたのですが、なぜか今はいません。
途中にある湧水でてきている非常に澄んだ鯉の泳ぐ、地元の子供たちが「三角池」と呼ぶ小さな池。
三角池のそばには、地元の人たちがよく手を合わせているお地蔵様?があります。どうやらこの地域の守り神のようです。

この先も水路は100mほど続きますが、寂しいかな突然終わってしまいますが、そのまま檜の大木に覆われた自然豊かな道沿いに4-500mぐらい進むと、左手に突然大きなマンションが現われるので次の小さなT字路を右に入ってください。すると、すぐに鵜の木松山公園という高台にある公園の入り口があります。 この公園はいつも人が少なく静かで、その名の通り何故か松の木が非常に多く、また高台にあるため多摩川対岸の川崎にある高層ビル群が一望でき、朝夕はなかなかの絶景が楽しめます。

朝日に染まる高層ビル群や夕陽に浮かぶシルエットはなかなかのものです。

松山公園を出て坂道を下り真っ直ぐ100mほど行くと(西に向かう)鵜の木駅に出ます。そのまま踏み切りを渡り400mほど行くと、東京高等学校多摩川の土手に出るのでそのままスロープを使って土手の上に登ってください。なお、車椅子で多摩川の土手に昇り降り出来る場所は限られるので、トイレや飲料調達にはご注意ください。(多摩川の土手や河川敷にはバリアフリートイレや自販機は一切ありません

多摩川の土手遊歩道

高低差3-4mほどの土手に造られたスロープを登り切ると視界は一気に開け、別世界が広がります。

眼下に広がる広大なグランドと優雅に流れる多摩川、そして未来都市のような対岸の武蔵小杉の高層ビル群。いつ見ても幻想的な風景です。
土手の遊歩道は以前よりだいぶ広くなり、またそこから河川敷に降りるバリアフリー路もだいぶ整備されました。非常に快適な空間です。
このあたりには大田区や近くの高校の野球グランドやサッカーフィールド以外にもラクビー場、クリケット場、テニスコートなどがあり、土休日はいつも多くのプレイヤーと見学者で賑わっています。
多摩川の土手や河川敷には日影がほとんどありませんが、この辺は桜並木があるので暑い季節の散歩時にはホント助かります。
またこの辺りの土手は桜の名所としても有名で、春はこんな感じの最高の散歩道が1-2km続きます。

この先も多摩川の土手の遊歩道は羽田空港付近まで続きますが、きれいに整備され車椅子での散歩に適しているのはこのあたり(ガス橋付近)までなので、リバープレイス(土手沿いにある超高層マンション)とキャノン本社ビルの間にある道路から下丸子駅に行くことをお薦めします。

下丸子駅周辺

多摩川の土手を降りるとすぐに下丸子公園という非常に整備の行き届いた大きな公園があります。この公園には子供がいろいろ楽しめるように様々な施設がある為、いつも子連れ親子や小学生でいっぱいです。日陰はほとんどありませんがベンチはいたるところに設置されてるのでちょこっと休憩するには持って来いです。特に季節ごとに様々な花が咲きほこる花壇は一見の価値があります。また、すぐ近くにオリンピック(ショッピングセンター)があり日用品や飲食品の買物もできるので非常に便利です。

 

また、下丸子駅周辺には個性的な飲食店が多いので、散歩の締めにビールなど楽しむのも乙なものです。ちなみに多摩川の土手から駅までは5-600mぐらいです。

参考情報)

■交通関係 東急多摩川線は基本的にどの駅もスロープ板の介助無しで車椅子での乗り降りが可能です。またどの駅にもきれいなバリアフリートイレがあり、電車を利用しなくても駅員さんに声をかければ利用させてもらえます。 ※器具(車椅子)特性差や利用者の個人差があるはずなので、不安のある方は無理せず介助をお願いしてください。

散歩途中でのお薦めのバリアフリートイレのある場所 「多摩川戦各駅」「せせらぎ館」「ライフ鵜の木店」「オリンピック下丸子店」

■散歩途中でのお薦めの休憩場所(屋内) 「せせらぎ館」「オリンピック下丸子店」「ファミリーマート 下丸子三丁目店(だだっ広いイートインと喫煙室あり)」「大田区民プラザ」

以上が「東急多摩川線沿線の散歩 ~車椅子利用者にお薦めの大田区の散歩エリア」のご紹介です。

タイトルとURLをコピーしました