東京都心部の最新公共交通機関のバリアフリー化状況

片麻痺ライフ

10年ほど前から車椅子生活をしている自分は、東京都心部ではここ5-6年で鉄道などの公共交通機関のバリアフリー化がありがたいことに急速に進展したと実感しています。東京オリンピック&パラリンピックの開催や高齢者の急増、さらには街のバリアフリー化が日本以上に浸透している欧米諸国からの旅行客の急増が大きく影響しているとは思いますが、自分のような者にとっては本当にありがたいことです。

そこで今回は、普段から暇さえあれば電動車椅子に乗り一人で都心部をウロチョロしている自分が、東京近郊に住んでいる車椅子利用者も気軽に東京に遊びに来れるよう最新の都心部でのバリアフリー状況を化ご案内致します。

JRの都心部路線のバリアフリー状況

JRの都心部路線と言えばまずは「山手線」ですが、この山手線のバリアフリー化は非常に進んでいます。すべての駅にエレベーターがあり、車椅子でも誰の手も借りずにホームから街に出ることができます。ただ、山手線ターミナル駅は昼間でも混んでいるので、介助者無しで一人で利用する時にはかなり注意が必要です。 また最近では、ホームの6号車4番ドア乗降口部分は車両とホームの隙間や段差を小さくするようホームが改修されており車椅子でもスロープ板無しで乗降が可能になりました。 注)一部の駅や車椅子の種類によってはスロープ板が必要な場合もあるのでご注意ください。 この特別な乗降口はホームがピンク色にペイントされ車椅子マークがあるのですぐわかります。

さらに車輌自体も改良されており、数年前から導入されたE235系という車両には下の写真のようなピンク色に塗られたの座席の無いフリースペースが設けられいます。これまでのフリースペースがない車両では、自分は乗り降りする人の邪魔にならないよう駅が近づくと降車しようとドアに集まってくる人の中を開くドアと反対側のドアの方に車椅子で移動せざる負えませんでした。そのため、駅間隔が短くしかも度々開閉ドアが変わる山手線は大変で、特に乗降する人が桁違いに多いターミナル駅ではいつも必死でした。でも、この車両の場合は乗車後指定場所に行き、そこで降車予定駅までじっとしてられるので、最近は非常に楽かつ安全です。 車椅子で車内に入ると、ありがたいことにそれまでこのスペースにいた人達も移動してくれます。

山手線以外にも京浜東北線のバリアフリー化はかなり進んでいますが、中央線や総武線はまだまだといった感じです。そのため、自分はできるだけこの2路線の利用を避けた移動方法を選択しているのが現状です。

路線バスのバリアフリー状況

都心部を走っている主要なバスは、都が運営する都バスと各区が運営するコミュニティバスと私鉄各社が運営する東急バス、京急バス、京王バス、西武バス、小田原バスなどがありますが、自分は電動リフトが付いているバスは見たことがありません。ただ、大半のバスはスロープ板を常備しており、また車内にも車椅子を駐車出来るスペースがあります。そのため原則バス停で待っていれば大半のバスは乗せてくれるそうです。ただ、交通量が多い都心部でわざわざ運転手に下車してもらったり他のお客さんに待ってもらうのはあまりにも気が引けるので、自分は東京では車椅子で公共バスに乗ったことはありません。

地下鉄のバリアフリー状況

現在、都心部には東京メトロ9路線、都営地下鉄4路線の計13路線もの地下鉄が網の目のように走っているため、実は「都心部ではJRや路面バスのバリアフリー化が全く進んでいなくても、地下鉄のバリアフリー化さえ進んでいれば、全く困ることはない」のです。つまり車椅子利用者にとっては地下鉄のバリアフリー化の進展度が最も重要なのです。

そんな地下鉄なんですが・・・はっきり言って東京の地下鉄のバリアフリー化はかなり遅れていると思います。その理由の一つに、近年急激に増えた私鉄との相互乗り入れがあります。というのも、会社や路線ごとに使用している車両タイプが異なっているためドアの場所や高さが違いすべての車両にフィットするホーム改造ができないからだそうです。

オリンピック&パラリンピックに合わせてバリアフリー化が進められた銀座線と丸ノ内線以外は利用は控えた方がいいと思います。自分は介助無しでたまたま来た列車に乗車したはいいが、降車予定駅で列車とホームの隙間や段差が大きすぎて下車出来なかったことが何度もありました。まあ、最初に駅員にスロープ板での介助をお願いすればいいのですが・・・どうしても気が引けるので、自分はまだ現時点では乗りなれた路線以外には出来るだけ地下鉄は利用しないようにしています。前述した通り、電動車椅子で移動しても1,2kmなら30分程なので!

独り言ですが・・・

自分は山手線や京浜東北線沿線を毎週2~3回ほど利用していますが、その際は必ず前述したピンク色の乗降口を利用しています。ただ時々、社内に人が多く乗車できず列車を何本も見送ることがあります。ひどい時には、ラッシュ時間までだいぶある午後4頃なのに車内が混み合っていて全然乗車出来ず、そのままラッシュ時間帯に入ってしまったため、一旦乗車を諦めラッシュが落ち着くまで3時間ほど駅構内の喫茶店で時間を潰したこともありました。 そこで、あるときほぼ丸一日かけて、山手線で何故か乗車できないことが多い幾つかの駅のホームで列車様子や人の流れを観察してみました。すると以下のようなことに気付きました。

車内で混んでいるのはピンク色のドアの周辺だけで他のドアの周りはさほど混雑していない。 ②ピンク色のドアのすぐ近くにはエレベーターやエスカレーターがあり、ピンク色のドア付近にいた人達の多くはドアが開くと一目散にそれらに向かっている。

そうなんです、JRの方では自分たちのことを考えてわざわざエレベーターやエスカレーターに近いドアを選んでピンク色の乗降口を設けてくれたと思うんですが、実は自分の場合エレベーターまでの距離はほとんど気になりません。というのも、自分はいつも下車したら危ないのですぐにホームの真ん中に行き、そこで人の流れが落ち着くまでじっと待ち、その後ゆっくりと移動するからです。だから、ピンクドアの設置場所は今の基準の真逆、つまりエレベーターやエスカレーターから離れた人の流れの少ない所にあるドアの方が嬉しいのです。きっと一般利用客の方々への影響も少なくて済むと思うし・・・。きっと自分と同じように考えている車椅子利用者も多いと思いますが。

以上が、電動車椅子で毎日のように都心部をウロチョロしている自分の目からみた東京都心部の最新公共交通機関のバリアフリー化状況です。

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