私たちは核兵器と聞くと広島、長崎の惨禍のように核爆発で生じる熱線や風そして放射線による被害がを想像します。
しかし、核兵器を使った攻撃には「電磁パルス(EMP)攻撃」という間接的な被害を狙った攻撃もあるそうです。
そこで今回はこの「電磁パルス(EMP)攻撃」についていろいろ調べてみました。
電磁パルス攻撃ってどんなもの?
核兵器は高さ30~400kmという高高度で爆発すると、その爆発により放出されるガンマ線が空気分子と衝突し電磁パルス(=強力なパルス状の電磁波)を発生させその電磁波が地上に降りそそぎ、あるありとあらゆる電子機器や電化製品、送電網を破壊してしまうそうです。これが核兵器による電磁パルス攻撃です。
ちなみに高度40kmというと・・・私たちが普段利用している旅客機が飛ぶ高度がおおよそ8,000~1万2,000m前後なのでその4倍ぐらいの高さで最先端の戦闘機でもたどり着けません。その為、核による電磁パルス攻撃をするには「核爆弾製造技術」に加え、その核弾頭を積んだロケットを高度40km以上にまで打ち上げる「ロケット技術」が必要になります。そのため今現在核による電磁パルス攻撃がまともに実施可能な国は米ロ中英仏=国連安保理常任理事国くらいしかないと言われています。
電磁パルス攻撃がもたらす被害は?
ただ、この電磁パルス(EMP)攻撃の場合、核爆発の現場があまりに高高度(広島・長崎は地上500-600m程度)であるため、広島・長崎のように熱線、爆風、放射線で直接死傷する人は出ないそうです。
その代わり地上に降り注ぐ電磁パルス(その電圧は5万ボルト)が送電線を伝ってあらゆる電化製品に侵入してIC(集積回路)を破壊します。その結果、電磁パルスが降り注いだエリアでは電灯・エアコン・冷蔵庫・テレビなどの電化製品とコンピュータは壊れて使えないようになってしまいます。また、飛行機や電車・自動車・船舶などは電子基板が破壊され瞬時に操作不能になってしまいます。同時に発電所や浄水場も機能不全となり、長期間の停電や断水を引き起こします。
この電気も水道も使えないという文明社会の崩壊により世の中は大混乱し、やがて飢えや病気で何千万人という人が死んでしまうと言われています。
その被害の範囲は?
では、この電磁パルスが降り注ぐ範囲はどのくらいなのでしょうか?NTT宇宙環境エネルギー研究所によれば、この範囲の広さは下の表のように核爆発が起こった高度によって決まってくるそうです。
爆発高度 | 被害範囲(半径) |
---|---|
30km | 602km |
100km | 1,100km |
200km | 1,556km |
300km | 1,905km |
400km | 2,200km |
上記の表と図からすると、東京の上空30kmで核爆発が起こると青森県から岡山県までの本州の大半に電磁パルスが降り注ぎ、上空100kmなら沖縄県を除いたほぼ日本全体に降り注ぐことになり日本はほぼ全滅という危機に見舞われるのです。また、米国の本土のほぼ真ん中にあるカンザス州上空400kmの高層大気圏で爆発すれば、アラスカとハワイを除く米国全体が電磁パルスにすっぽり覆われ、広大な米国ですらたった1発の核爆弾で国家破滅の危機に見舞われるのです。以下のビデオは電磁パルス攻撃の恐ろしさをわかりやすくCGで表しているので参考にしてみてください。
もし北朝鮮が電磁パルス攻撃力を持ったら・・・
今現在、北朝鮮は「核爆弾製造技術」はほぼ確実に保有していると言われています。また、その核弾頭を積んだロケットを高度40km以上にまで打ち上げる「ロケット技術」も数年にわたる弾道ミサイル打ち上げ実験により着々と手に入れつつあるようです。もしミサイルに搭載可能にまで核弾頭の小型化が進んでいれば、今すぐにでも北朝鮮による日本への電磁パルス攻撃が可能だと言われています。
もし、北朝鮮が核爆弾を積んだロケットを発射すらば、10分程度で日本に電磁パルスが降り注ぎ、じわじわと日本は滅亡へと向かうと予想されています。なお、ロケットが発射された後核爆発までの間にそのロケットを撃墜することは今の人類の技術では不可能だそうです。ホント想像するのも恐ろしい話ですね。