現在の日本社会では、子どもがまだ小学生の頃から塾通いをさせている親御さんも多いと思いますが、高校受験を控えた中学3年では塾に通っている割合は全国平均で61.4%もあるそうです。我が家では、自分が学習塾というものに通ったことがないため、自分の子供たちにも全く塾通いはさせませんでした。
では、皆さんはこの高校受験を控えた中学3年生の通塾率が最も低い都道府県はどこだと思いますか?
道東生まれの自分は、「きっと北海道だろう・・・、あんなだだっ広く、しかも厳寒の地では塾通いなんて非現実的では?」と思いましたが、意外や意外北海道は15位でした。
中3の通塾率が最も低いのは岩手県!
下記の表は.都道府県別の「中学3年生の通塾率(2017年)」を表したものです。(出典:文部科学省全国学力・学習状況調査)
これを見ると、最も低いのは岩手県で29.6%、2位は秋田県で30.9%、3位は青森県で32.8%、4位は山形県で33.7%、5位は宮崎県で39.4%となぜか東北地方の県が多くなっています。
逆に高い都道府県はというと、奈良県74.3%、神奈川県74.3%、兵庫県71.0%とやはり首都圏や阪神圏でした。それにしても7割越とは驚きますね。文部科学省の方では、この現実をどう考えているのでしょうか?
ちなみに、矢野経済研究所によれば、日本の2019年の学習塾・予備校の市場規模は9,750億円もあるそうです。2020年度の文部科学省の義務教育予算が約1.5兆であることを考えると、「いったい日本の学校教育って何?」と疑問に思ってしまいます。
順位 | 都道府県 | 通塾率 |
---|---|---|
1 | 岩手県 | 29.6% |
2 | 秋田県 | 30.9% |
3 | 青森県 | 32.8% |
4 | 山形県 | 33.7% |
5 | 宮崎県 | 39.4% |
6 | 島根県 | 42.3% |
7 | 鹿児島県 | 44.9% |
8 | 高知県 | 45.0% |
9 | 石川県 | 46.2% |
10 | 福井県 | 49.1% |
11 | 福島県 | 49.2% |
12 | 大分県 | 49.7% |
13 | 佐賀県 | 49.7% |
14 | 長崎県 | 50.0% |
15 | 北海道 | 50.2% |
16 | 長野県 | 51.3% |
17 | 熊本県 | 51.7% |
18 | 新潟県 | 51.7% |
19 | 富山県 | 52.3% |
20 | 沖縄県 | 52.8% |
21 | 鳥取県 | 54.3% |
22 | 宮城県 | 55.3% |
23 | 福岡県 | 56.7% |
24 | 茨城県 | 57.5% |
25 | 山梨県 | 57.6% |
26 | 愛媛県 | 58.7% |
27 | 栃木県 | 58.7% |
28 | 広島県 | 59.6% |
29 | 山口県 | 59.8% |
30 | 群馬県 | 60.3% |
31 | 岡山県 | 61.7% |
32 | 滋賀県 | 62.3% |
33 | 徳島県 | 64.8% |
34 | 京都府 | 65.5% |
35 | 愛知県 | 66.2% |
36 | 静岡県 | 66.4% |
37 | 香川県 | 66.6% |
38 | 岐阜県 | 67.1% |
39 | 埼玉県 | 68.3% |
40 | 三重県 | 68.5% |
41 | 千葉県 | 68.6% |
42 | 東京都 | 70.0% |
43 | 大阪府 | 70.2% |
44 | 和歌山県 | 70.2% |
45 | 兵庫県 | 71.0% |
46 | 神奈川県 | 74.3% |
47 | 奈良県 | 74.3% |
全国 | 61.4% |
海外にも塾ってあるの?
いろいろと調べてみましたが、基本的に欧米諸国には学習塾というものはほとんどないようです。
その理由は、欧米人の多くが「学歴と社会での成功はほとんど関係ない」と考えており、また子ども時代は「覚えることよりも、考える力」を身に付ける教育が大切と考えているからです。そのため、日本のような子ども時代からの「受験のための詰め込み教育」には批判的の人が大半と言われています。
さらには、驚いたことに北欧諸国やドイツなどでは小中高校どころか大学までもが受験そのものがないのです。
いやーあらためて「日本の教育って間違っているのでは?」と考えさせられました。
逆に中国・韓国・台湾など東アジアの国々では、日本と同じように学習塾通いが盛んなようです。中でも、中国では塾通いが急速に増え、いまやその市場規模は13.2兆円以上ととんでもなく巨大なものとなっているそうです。
ちなみに、「覚えるより考える学習」という欧米的な考え方を基本としている「公文式(人に解き方を教わるのではなく、自分の力で教材の問題を解く学習法)」は、アジアをはじめ世界46カ国に広まり、今では海外での学習者数は日本の3倍近くに上るそうです。
文部科学省もそろそろ抜本的に大学の受験制度を見直さないと、世界に通用する想像力豊かで労働生産性の高い優秀な若い労働者が生まれて来ないのではないでしょうか?
皆さんは、どう思いますか?