よく会社や地方自治体の健康診断の時、CTとかMRIという検査を受けますが、皆さんは両者の違いをご存知ですか? 自分は10年ほど前に脳卒中で倒れるまでは、歯医者や整形外科でレントゲン検査を受けた経験しかありませんでした。しかし倒れてからは、しばしばCT検査やMRI検査も受けさせられていますが、恥ずかしながら未だにほとんど両者の違いは理解していない状態でした。
ところが最近、いろんな歯がぐらつき痛くてろくにものが食べられない状態が1ヶ月以上も続いたため、脳出血後ずっとお世話になっている病院の口腔外科に行きました。するとなぜか直ぐにCT検査を受けさせられました。自分は「脳外ではないのに、なぜCT?」とやや疑問に思いましたが、取りあえず言われた通り1時間ほど待ってCT検査を受け、その日は帰りました。 そこで今回は、自分の頭の中でずっとモヤモヤしていた「CT検査とMRI検査」についていろいろ調べてみました。
画像検査法は大きくレントゲンとCT&MRIに二分される
現代医療では、お医者さんが患者さんの病状を正確に把握するために、治療に取り掛かる前様々な検査をするのが当たり前になっていますが、その検査の一つに画像診断検査というものがあります。その画像診断検査にも様々な特徴を持つ以下のような診断技術があります。
レントゲン(X線撮影) | CT(断層撮影法) | MRI(磁気共鳴画像法) | |
原理 | 物体を透過する性質を持つX線(電磁波の一種)を体に照射し、背後のフィルム等に影を映し出します。 | X線を使用して体を複数の方向からスキャンし、それらのデータをコンピュータで処理して断層画像を生成します。 | 強力な磁場とラジオ波を使用して体内の水素原子(主に水分)の磁気共鳴現象を利用して画像を生成します。 |
主な特徴 | 骨や組織の密度の違いによって異なる量が吸収され 比較的簡易で低コスト。体への放射線被ばくがある。 | 高解像度で3次元的な情報を得ることができる。 軟部組織だけでなく骨や血管の詳細も表示できる。 体への放射線被ばくがあるが、現代の技術では被ばく量を抑える工夫がなされている。 | 放射線を使用しない。 軟部組織のコントラストが非常に高いため、神経組織や筋肉、腫瘍などの詳細がはっきりと表示される。撮影時間が長いことや、大きな騒音があること、広範囲の磁場を必要とするためペースメーカーや一部の金属製インプラントを持つ患者には使用できない場合がある。 |
用途 | 骨折、肺の疾患(肺炎、結核)、などの診断。 | 脳の出血や腫瘍、内臓の疾患、血管の異常などの診断。 | 脳や脊髄の疾患、関節の異常、腫瘍の診断など。 |
名称 | レントゲン (X線撮影) | CT() | MRI(磁気共鳴画像法) | |
原理 | 物体を透過する性質を持つX線(電磁波の一種)を体に照射し、背後のフィルムやディテクターに影を映し出します。 | X線を使用して体を複数の方向からスキャンし、それらのデータをコンピュータで処理して断層画像を生成します。 | 強力な磁場とラジオ波を使用して体内の水素原子(主に水分)の磁気共鳴現象を利用して画像を生成します。 | |
主な特徴 | 骨や金属など、密度の高い物質がはっきりと表示される。 比較的簡易で低コスト。 体への放射線被ばくがある。 | 高解像度で3次元的な情報を得ることができる。 軟部組織だけでなく骨や血管の詳細も表示できる。 体への放射線被ばくがあるが、現代の技術では被ばく量を抑える工夫がなされている。 | 放射線を使用しない。 軟部組織のコントラストが非常に高いため、神経組織や筋肉、腫瘍などの詳細がはっきりと表示される。撮影時間が長いことや、大きな騒音があること、広範囲の磁場を必要とするためペースメーカーや一部の金属製インプラントを持つ患者には使用できない場合がある。 | |
用途 | 骨折、肺の疾患(肺炎、結核)、などの診断。 | 脳の出血や腫瘍、内臓の疾患、血管の異常などの診断。 | 脳や脊髄の疾患、関節の異常、腫瘍の診断など。 |
レントゲン(X線撮影) CT(断層撮影法) MRI(磁気共鳴画像法) 原理 X線を使用して体内を透過させ、背後のフィルムやディテクターに影を映し出します。 X線を使用して体を複数の方向からスキャンし、それらのデータをコンピュータで処理して断層画像を生成します。 強力な磁場とラジオ波を使用して体内の水素原子(主に水分)の磁気共鳴現象を利用して画像を生成します。 主な特徴 主な特徴骨や金属など、密度の高い物質がはっきりと表示される。比較的簡易で低コスト。 体への放射線被ばくがある。 高解像度で3次元的な情報を得ることができる。 軟部組織だけでなく骨や血管の詳細も表示できる。 体への放射線被ばくがあるが、現代の技術では被ばく量を抑える工夫がなされている。 放射線を使用しない。 軟部組織のコントラストが非常に高いため、神経組織や筋肉、腫瘍などの詳細がはっきりと表示される。撮影時間が長いことや、大きな騒音があること、広範囲の磁場を必要とするためペースメーカーや一部の金属製インプラントを持つ患者には使用できない場合がある
CTはレントゲンと同じ放射線(X線)を使った画像検査法
CTは「Computed Tomography(コンピューター断層撮影法)」の略で、X線でレントゲン撮影した後そのデータをコンピューターで画像再構成処理することで、立体的に骨の状態や神経の位置を把握でする特殊な検査技術やそれを行う装置のことだそうです。
体内の状態を断面像として描写する検査だそうです。撮影時間つまり検査している時間が数十秒で終わる簡単な検査です。 技術的には、放射線を一方向から照射し、フィルムに画像を焼き付けるレントゲンとは違い、CTでは撮影部位に対して多角的に放射線を照射するため、輪切りの3次元的な画像を作る事ができ、それをコンピューター上で再構成して3Dにする事も出来ます。
CTもレントゲンと同じように骨を調べる為によく使われるのですが、CTの方が精密な診断が可能なため、レントゲンでは分からないような骨折を探すためや、レントゲンで明らかに骨折している場合で手術前にさらに詳しい状況を調べるために使われます。
しかし、CT検査は被ばく量が多く、単純レントゲン検査に比べ50~100倍ほどあるため注意が必要です。 (※)レントゲンの被爆は飛行機に乗った時の被爆と同じ程度
そんなに放射線を浴びて大丈夫なの・・・
MRIは磁気を使った検査
MRIは「Magnetic Resonanse Imaging」の略で、日本語では「磁気共鳴画像」と言い、磁気の力を利用して脳や体の臓器や血管を撮影する検査です。 このMRIでは、骨や空気による悪影響がないため、目的に応じて優れた画像コントラストが得られ、脳や脊髄などを鮮明に診断できます。 自分も脳出血で倒れた後は、何度も受けました。
またMRIでは、縦、横、斜め方向の断面が得られるため理解がしやすく、3次元の画像も容易に得られます。 さらに、造影剤を使わずに、あるいは最小限の造影剤量で大きな血管に関する情報が容易に得られるのが大きな特徴です。
また、レントゲンやCTは放射線を使った検査なので被爆しますが、このMRIでは放射線を使わないので被爆することはありません。ただ、撮影の時には20-30分もの間、工事現場のような大きな音がする狭いトンネルでの検査となります。
自分は気になりませんが、閉所恐怖症や騒音に敏感な方はかなり、このMRI検査はつらいようです。
CTとMRIの違いのまとめ
いろいろと書いてきましたが、簡単にまとめると以下の通りです。
CT | MRI | |
---|---|---|
撮影原理 | X線検査の立体版 (レントゲン照射した後にコンピュータで画像を作成) | 磁気の共鳴現象 (強力な電波を使って、体内にある水分に作用して断層を撮影する) |
放射線被爆 | あり | なし |
基本 | 横断面 | 任意の断面 |
撮影時間 | 比較的短い(10~15分) | 比較的長い(30分程度) |
適している部位 | 脳・肺・腹部・骨 | 脳・脊髄・関節・骨盤腔内臓器 |
長所 | 撮影時間が比較的短く、容易に断層像が得られる。 頭部救急病変(出血の疑いなど)への適応が高く、また骨の情報が得られる。 | 任意の断層像を得ることができ、撮像法を変えることで病変の質的評価ができる。 また、造影剤なしで血管の画像が得られる。 |
短所 | 放射線被曝がある。 | 体内に金属が入っている人は、検査できない。 撮影時間が長く、狭く音がうるさい空間に長時間いる必要がある。 |