もはやグローバル競争力を完全に失ってしまった日系企業

鴻海に買収されたシャープ社会・経済
出典:sankeibiz.jp

日本は、今から30数年前の1980年代後半には「世界全体のGDPの15%弱を占め、米国に次ぐ世界第2位の経済大国」でした。実際にバブルがピークを迎えた1989年の世界企業の時価総額ランキングトップ10には、日本企業が7社もランクイン(1位はNTT)していたのですが・・・それが今では(2022年末)ではトップ10には1社もランクインしておらず、最上位のトヨタ自動車がようやく51位に顔を見せているという衰退ぶりです。

世界のGDPシェア1990年

経済面では、米国とともに圧倒的な存在感を持っていた「我が国ニッポン!」

1989年世界の時価発行額ベスト20企業

出典:ダイヤモンド社サイト

そこで、今回は「日本企業の凋落」についていろいろ調べてみました。

次の時代をリードしていける世界の大企業はどこ?

現在のような技術進歩や変化が激しい社会では、それぞれの企業の研究開発費や人件費にいくら先行投資できるかがその企業の未来を大きく左右します。そこであらためて時価総額(株価×発行済株式数)という指標が重要視されます。下の表は2022年12月末時点の世界の株式時価総額ランキング100です。

企業名業種時価総額
1アップルアメリカ情報技術2.07兆ドル
2サウジアラムコサウジエネルギー1.88兆ドル
3マイクロソフトアメリカ情報技術1.79兆ドル
4アルファベットアメリカコミュニケーション1.15兆ドル
5アマゾンアメリカ消費財・サービス8,569億ドル
6バークシャー・ハサウェイアメリカ金融6,818億ドル
7ユナイテッドヘルスアメリカヘルスケア4,954億ドル
8ジョンソン&ジョンソンアメリカヘルスケア4,618億ドル
9エクソンモービルアメリカエネルギー4,542億ドル
10ビザアメリカ情報技術4,400億ドル
11テンセント中国コミュニケーション4,051億ドル
12JPモルガン・チェースアメリカ金融3,933億ドル
13テスラアメリカ消費財・サービス3,890億ドル
14台湾セミコンダクター台湾情報技術3,863億ドル
15ウォルマートアメリカ消費財・サービス3,824億ドル
16エヌビディアアメリカ情報技術3,642億ドル
17LVMH モエヘネシー・ルイヴィトンフランス消費財・サービス3,636億ドル
18P&Gアメリカ消費財・サービス3,592億ドル
19イーライリリーアメリカヘルスケア3,476億ドル
20シェブロンアメリカエネルギー3,471億ドル
21マスターカードアメリカ情報技術3,343億ドル
22ホーム・デポアメリカ消費財・サービス3,219億ドル
23メタ・プラットフォームズアメリカコミュニケーション3,199億ドル
24ネスレスイス消費財・サービス3,186億ドル
25貴州茅台酒中国消費財・サービス3,111億ドル
26ノボ ノルディスクデンマークヘルスケア3,045億ドル
27サムスン電子韓国情報技術2,930億ドル
28ファイザーアメリカヘルスケア2,876億ドル
29アッヴィアメリカヘルスケア2,858億ドル
30メルクアメリカヘルスケア2,813億ドル
31コカ・コーラアメリカ生活必需品2,751億ドル
32バンク・オブ・アメリカアメリカ金融2,657億ドル
33ロシュスイスヘルスケア2,596億ドル
34ペプシコアメリカ消費財・サービス2,489億ドル
35ブロードコムアメリカ情報技術2,337億ドル
36アリババ中国消費財・サービス2,332億ドル
37オラクルアメリカ情報技術2,204億ドル
38ASMLオランダ情報技術2,203億ドル
39サーモフィッシャーアメリカヘルスケア2,160億ドル
40中国工商銀行中国金融2,111億ドル
41アストラゼネカイギリスヘルスケア2,104億ドル
42リライアンス・インダストリーズインドエネルギー2,083億ドル
43コストコアメリカ消費財・サービス2,026億ドル
44シェルイギリスエネルギー1,994億ドル
45シスコシステムズアメリカ情報技術1,957億ドル
46ノバルティススイスヘルスケア1,951億ドル
47ダナハーアメリカヘルスケア1,932億ドル
48マクドナルドアメリカ消費財・サービス1,930億ドル
49アボット・ラボラトリーズアメリカヘルスケア1,914億ドル
50ロレアルフランス消費財・サービス1,905億ドル
51トヨタ自動車日本消費財・サービス1,864億ドル
52ナイキアメリカ消費財・サービス1,831億ドル
53TモバイルUSアメリカコミュニケーション1,742億ドル
54アクセンチュアアメリカ情報技術1,682億ドル
55ネクステラ・エナジーアメリカ公益事業1,661億ドル
56ベライゾンアメリカコミュニケーション1,655億ドル
57エルメスフランス消費財・サービス1,612億ドル
58リンデアメリカ素材1,607億ドル
59ウォルト・ディズニーアメリカコミュニケーション1,584億ドル
60中国建設銀行中国金融1,580億ドル
61ウェルズ・ファーゴアメリカ金融1,573億ドル
62BHP豪州素材1,570億ドル
63フィリップモリスアメリカ消費財・サービス1,569億ドル
64トタル・エナジーフランスエネルギー1,566億ドル
65アドビアメリカ情報技術1,565億ドル
66チャールズ・シュワブアメリカ金融1,554億ドル
67ブリストル・マイヤーズ スクイブアメリカヘルスケア1,530億ドル
68コムキャストアメリカコミュニケーション1,509億ドル
69ユナイテッド・パーセルアメリカ資本財・サービス1,504億ドル
70テキサス・インスツルメンツアメリカ情報技術1,499億ドル
71レイセオン・テクノロジーズアメリカ資本財・サービス1,484億ドル
72コノコフィリップスアメリカエネルギー1,470億ドル
73チャイナ・モバイル中国コミュニケーション1,450億ドル
74ハネウェルアメリカ資本財・サービス1,441億ドル
75タタ・コンサルタンシー・サービシズインド情報技術1,440億ドル
76モルガン・スタンレーアメリカ金融1,437億ドル
77中国農業銀行中国金融1,424億ドル
78アムジェンアメリカヘルスケア1,401億ドル
79美談中国消費財・サービス1,387億ドル
80プロサスオランダ消費財・サービス1,379億ドル
81CATL中国資本財・サービス1,378億ドル
82招商銀行中国金融1,361億ドル
83セールスフォースアメリカ情報技術1,326億ドル
84ネットフリックスアメリカコミュニケーション1,312億ドル
85AT&Tアメリカコミュニケーション1,312億ドル
86クリスチャン・ディオールフランス消費財・サービス1,311億ドル
87AIA香港金融1,307億ドル
88カナダロイヤル銀行カナダ金融1,300億ドル
89ディア・アンド・カンパニーアメリカ資本財・サービス1,279億ドル
90ロッキード・マーチンアメリカ資本財・サービス1,275億ドル
91ユニリーバイギリス消費財・サービス1,275億ドル
92ユニオン・パシフィックアメリカ資本財・サービス1,273億ドル
93HDFC銀行インド金融1,272億ドル
94IBMアメリカ情報技術1,263億ドル
95中国銀行中国金融1,257億ドル
96ペトロチャイナ中国エネルギー1,250億ドル
97キャタピラーアメリカ資本財・サービス1,247億ドル
98HSBCイギリス金融1,244億ドル
99中国人寿保険中国金融1,235億ドル
100クアルコムアメリカ情報技術1,232億ドル

このベスト100のうち、なんと62社がアメリカ企業で次いで13社が中国企業なのです。欧州は全ての国を合わせると13社となりようやく中国と並びます。極東の島国日本は1社だけです。まさに世界経済はアメリカが支配し、それに中国と欧州が必死に抵抗しているという図式なのです。岸田総理や日本のマスコミは、日本企業の技術力を褒めたたえて楽観的なことばかり言いますが、それは過去の話で実際は日本は完全に負け組で“世界の蚊帳の外”なのです。それどころか技術力や優秀な人材を持つ日本優良企業は次々と外国資本に乗っ取られているのが現状なのです。

実は既に外国人の手に落ちている日本の優良企業

前述の通りこれまで日本を支えてきた日本の大企業は、経済のグローバル化の流れの中で急速に成長していく外国企業にどんどん遅れをとってしまったのです。それどころか、企業経営の要である資本を年々外国に抑えられてしまったのです。下のグラフは東証における株主構成比推移です。今や外国法人が日本企業を動かしているのです。

下の表は、現在の「日本企業の時価総額ベスト50」とそれぞれの会社の「外国人持ち株比率」です。
また、表の中の赤字の企業は外国人持ち株比率50%以上の企業(=事実上外国人に支配されている企業)で、同じく橙色の企業は40%以上の企業(=役員人事等の重要な経営事項で外国人の意向を無視できない企業)です。

また、これら50社の時価総額は合計で約270兆円です。前述の世界の時価総額ナンバー1のアップルは、たった1社で300兆円を超えているのです。日本の上位50社の合計以上なんです。日の丸連合で戦ってもかなうわけありません。また、この50社の株式の多くが外国法人に握られているのです。
日本を代表する企業である、ソニー、武田薬品、任天堂、HOYA、日産自動車、花王は、すでに過半数以上の株式を外国人に握られています。また、驚いたことに日本の代表的なメガバンクである三井住友FGや三菱グループの中核企業である三菱地所やこれぞ日本企業と思っていた日立、ファナック、資生堂40%以上の株式を外国人に握られているのです。

さらに、ベスト50には入っていませんが、東芝が69.8%、シャープが67.6%、良品計画が50.5%、富士通が47.1%、参天製薬が46.8%、ツムラが45.6%、セコムが42.7%も株式を外国人に握られているのです。

日本は本当に危ないのです。一部の政治家の自己満足のために呑気にオリンピックや万博などやっている時ではないのです。本当に日本の未来に役立つことにお金を使わなければならないのに・・・。

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