10代若者の意識、日本だけ異常? ≪日本の常識、世界の非常識≫

社会・経済

いつものように暇に任せてネットを徘徊していた時、偶然Forbesの“「国や社会に対する意識」18歳調査。日本と世界の回答に驚異的乖離”というコラムに出くわしました。自分はこれまでにも何度か「日本人の特異性」に関する記事を書いてきましたが、このコラムで題材にしていたグローバル調査の結果が、なかなか興味深いものだったので、今回はその中で自分が関心を持った部分をご紹介します。

日本の10代若者は意識が子供!?

まず始めに、この調査の概要ですが、

調査主体:日本財団
調査時期:
2019年秋
調査方法:インターネット調査
調査対象者:
日本及びアメリカ、イギリス、ドイツ、中国、韓国、ベトナム、インドネシア、インドの17歳~19歳男女(各国で性別年齢均等割り付け)

となっています。なお有効サンプル数は各国1,000人です。さすがはお金持ちの日本財団、かなりの大規模調査ですね。これだけのサンプル数ならネット調査とはいえ結果の信憑性はかなり高いと思います。

Q.自分はどんな人間?

まず最初は以下の7つの事柄について「Yes」か「No」かを尋ねたものです。
・自分を大人だと思う
・自分は責任がある社会の一員だと思う
・将来の夢を持っている
・自分で国や社会を変えられると思う
・自分の国に解決したい社会課題がある
・社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している

結果は一目瞭然で、「日本だけが特異な存在」であることがわかります。きっと」多くの人は、このような結果をある程度は予想していたと思いますが、ここまで他国と違い社会人意識が希薄であることに落胆した人もかなり多いのではないでしょうか?

でも、安心してください。この調査の結果には各国の「成人年齢や選挙年齢」が大きく影響していると考えられるからです。日本ではあまり知られていませんが実は、イギリス・フランス・ドイツ・イタリアをはじめ欧州では1970年代半ばまでには成人年齢は18歳に引き下げられており、今では社会全体に「成人=18歳」という意識が定着しているのです。また、多くの発展途上国も旧宗主国であった欧州各国に習い成人年齢を18歳としていたので欧州と同じく「成人=18歳」という意識が定着しているのです。皆さんもご存知の通り、日本ではやっと昨年2022年から成人年齢を18歳に引き下げたのです。

このような背景を考えると、日本だけが前述したような特異な結果になったのもごく自然だと思います。まだまだ日本では、「10代は未成年=子供」という認識が普通ですよね。今考えるとなぜ、昨年まで成人年齢の引き下げをしなかったのか不思議でたまりません。

ただ、成人年齢とは全く関係しない将来の夢を持っている」という項目で他国を大きく下回っているのは個人的には非常に落胆してしまいました!

参考)世界各国・地域の選挙権年齢及び成人年齢
※データソース→法務省HP

Q.自分の国の将来は?

次は自分の国の将来についてどのように思っているかを尋ねたものです。

悲しいかな、日本はダントツのビリで、「良くなる」と回答した人は1割もいません。一方、中国は96.2%もの人が「良くなる」と回答しているのです。なんか日本の若者が可哀そうに思えると同時に、近いうち彼らは一向に変わらない政治や行政に見切りをつけ日本から去っていってしまうのではないかと危惧せざるを得ない気がします。そうなれば確実に日本は滅亡の危機に瀕するでしょうね。

旅行やグルメ・買物ばかりして、自分の余生を楽しむことだけに夢中になっている裕福なシニア層にももう少し真剣に「日本の将来」のことを考えて欲しいものです。

「平和な社会」は人類共通の願い!

最後の質問は、「Q.あなたは自分の国が将来、どのような国になって欲しいと思いますか?」と尋ねたものです。選択肢はマルチ(複数選択可)で以下の9つです。
・平和な国
・国民の幸福度が高い国
・経済的に豊かな国
・差別のない国
・平等に機会が得られる国
・誇りを持てる国
・国際的に協調できる国
・教育水準が高い国
世界をリードできる国

日本インドインドネシア
平和な国64.7%平和な国53.3%平和な国61.3%
幸福度が高い国55.7%平等に機会が~国52.8%幸福度が高い国61.2%
経済的に豊かな国47.8%誇りを持てる国50.1%教育水準が高い国52.5%
差別のない国 45.4%教育水準が高い国48.2%差別のない国49.5%
平等に機会が~国37.6%幸福度が高い国45.7%平等に機会が~国54.5%
韓国中国ベトナム
幸福度が高い国59.9%幸福度が高い国60.3%平和な国61.3%
平等に機会が~国48.0%誇りを持てる国 59.2%幸福度が高い国61.2%
差別のない国43.8%平和な国57.9%誇りを持てる国52.5%
平和な国 37.3%経済的に豊かな国56.5%経済的に豊かな国48.7%
誇りを持てる国34.5%教育水準が高い国54.4%教育水準が高い国48.3%
イギリスアメリカドイツ
平和な国58.6%平和な国62.1%平和な国58.6%
平等に機会が~国 56.1%誇りを持てる国60.1%差別のない国54.5%
誇りを持てる国53.0%平等に機会が~国57.6%平等に機会が~国50.6%
幸福度が高い国 52.6%幸福度が高い国55.6%協調できる国48.9%
差別のない国52.3%差別のない国53.6%誇りを持てる国48.0%

まあ、当たり前のことかもしれませんが、「平和な国」という項目は、全ての国でトップ5に入っており、やはり「平和な社会の実現こそ人類共通の願い」と言えると思います。
昨年の2022年2月にロシアが一方的に始めたウクライナ侵攻は、早くも1年2カ月になってしまいました。この間の双方の犠牲者の数は増え続け、
軍関係の死者数はウクライナが1万人以上、ロシアサイドが4-6万人と言われています。さらにウクライナでは1万人もの市民が死亡したと報道されています。また、難民としてウクライナを離れた人の数は800万人以上に上っていると言われています。(情報源はNHK)
しかしながら、今も戦争が終わる気配は一向に感じられません。今後は西側各国からウクライナへの武器供与が本格化するので、戦闘が激化するのは確実です。いったいどうなってしまうのでしょうか?追いつめられてプーチンが核のボタンを推さないことを祈るだけです。

世界中の若者が「平和な世界」を臨んでいるのに、プーチンや習近平、そしてバイデンなど時代遅れの老いぼれ政治家たちはいったい何を考えているのでしょうか?

さて、話を戻しますが・・・自分はこの質問への回答結果を見て気になる点が2つありました。
1つは「誇りを持てる国」のスコアが韓国とともに日本も極めて低い点です。太平洋戦争という過去の歴史の影響もあるのかもしれませんが、日本の若者には「愛国心」や「プライドや自信」が不足しているともとれ、ちょっと淋しさを感じました。

もう一つは「経済的に豊かな国」という項目が上位に上がっている点です。発展途上国ならともかく、20年以上前から「経済大国」と言われ続けてきた日本で生まれ育った現代の若者が、今更ながら「経済的に豊かな国になって欲しい」とは・・・余程自己中の甘ちゃんなのか、あるいは世界常識を知らな過ぎるとしか思えません。少子高齢化社会がますます進む日本では若者は「引手あまた」だと思いますが最近では欧米のみならず発展途上国にも非常に優秀な若手人材はたくさんいます。早いうちに「生温い汚染水でいっぱいの井の中」を飛び出し、海外で揉まれ一回りも二回りも大きくなって日本を再生してくれることを願うばかりです。

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