先日、ニューズウィークのバックナンバーを眺めていたら自分の興味をやたらそそる記事が二つありました。それは“世界一「チャレンジしない」日本の20代”というタイトルの記事と“日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている”というタイトルの記事です。
そこで、今回はまず「世界一チャレンジしない日本の20代」という記事の内容を紹介すると共に、日本が最も苦しい時代と言われる今後20-30年を担うこととなる今の30代についていろいろと調べてみました。
参考)→30年後の2050年には日本と世界はどうなっているのだろうか?
今の日本の30代は世界で最も安定志向の保守派!
ニューズウィークが“世界一「チャレンジしない」日本の20代”と銘打った記事は、2010~14年に各国の研究者が実施した『世界価値観調査』の結果に基づいて書かれたものです。ということは「当時の20代=今の30代」ということになります。
この調査の中でニューズウィークが注目したのは、以下の2つの質問です。
①「新しいアイディアを思いつき、クリエーティブであることを大切にしている」
②「冒険してリスクを冒すこと、刺激のある生活を大切にしている」
まずは日本と米国の20代(現30代)の比較です。
これを見ると、明らかに日本の若者はアメリカの若者に比べてのクリエーティブ志向や冒険志向が低いことがわかります。
この結果については多くの人は「まあ、そうだろうな」と思っていると思いますが、驚くのはこのあとです。
下の図は、調査が行われた59ヵ国全ての国の結果をプロットしたものです。縦横の軸の数字は各質問に対してポジティブ回答した人の割合です。
悲しいかな日本は諸外国の群れから大きく外れ最も左下にあるです。
先程比較したアメリカはちょうど真ん中くらいで、発展途上国であるナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、フィリピンなどはアメリカを大きく上回っているのです。また、お隣の韓国は日本と近い位置にあると思いきや・・・、そうではなく韓国では冒険志向の若者の比率が発展途上国と同じくらい高いのです。日本以上に超学歴社会で、一流企業に入るには英語力や海外留学経験が必須だと言われている韓国には冒険志向の若者が多いんですね。なんか、羨ましい気がします。
一方、日本の若者はすっかり委縮しているのです。信じられないことに、社会的な統制が強いはずの旧共産圏以上なのです。皆さんはどう思いますか?
今の30代はいったいどんな時代に生まれ育ったの?
このような日本人の冒険志向の低さは、「出る釘は打たれる」や「覆水盆に返らず」ということわざに代表されるように「異常な横並び意識」や「失敗に寛容ではない社会風潮」を反映しての結果だとは思いますが、これだけグローバル化が進展した今の世の中では「日本の致命的な欠点」ではないでしょうか?
では、このような意識を持ち「ゆとり世代」とか「さとり世代」今の30代は実際のところどんな時代に生まれ育ったのでしょうか?
彼らが生まれたのは1984~1993年で昭和末期から平成初期の「1億総中流時代」と言われ多くの国民がその繁栄を謳歌した時代でした。また、幼少期を過ごしたのは1990年代は「失われた10年」と呼ばれ、「バブル崩壊」→「阪神淡路大震災」→「地下鉄サリン事件」とまさに日本が天国から地獄へと旧転落した時代でした。そして、彼らが青年期を送った2000年代は「イラク戦争」「9.11事件」「リーマンショック」とまさに世界中が大揺れした時代でしたが、のんきな日本は超内向きで「金融再編」「郵政民営化」「ゆとり教育導入」「介護制度導入」などを行っていました。実はこの間も中国は順調に成長し続け、アメリカに次ぐ世界第二位の大国の座を確かなものとしたのです。
このように幼少期に「国自体の天国から地獄への転落」、そして青年期に「度重なる失政による国全体の衰退」を経験したことが、彼らを“世界で最も安定志向の保守派”にしてしまったのではないでしょうか?
人は年齢を重ねると家族に加え地位や財産等守るべきものが増えていき、自然と「リスクを冒すことは控える」ようになってきます。また、過去の経験に縛られ自然と「柔軟な思考が困難」になってきます。一方で、クリエーティブな発想をし、冒険ができるのは若者の特権だと自分は思っています。まだまだ脳も身体も若い今の30代の人達には、本当に期待しています。自分のようなオジンは、皆さんのようなまだ社会経験の少ない若者が萎縮しないように、これまで以上に若者を立て、応援していけたらと思っています。












