日本の「失われた30年」の間に、ここまで変わってしまった中国と世界!

国際社会

中国の資本主義化は、今からわずか36年前の1984年に、深圳・厦門等の4つの経済特区と上海・広州等の14の対外開放都市を設置し、欧米からの投資を受け入れたことから始まりました。その後、1989年の天安門事件による民主化運動の弾圧によって一旦は世界中の国々から経済制裁を受けて経済は停滞したものの、1990年代初期には中国経済は再び成長の波に乗りました。

そして30年後の現在では、世界中の国々が恐れをなす軍事&経済大国にまで奇跡の発展を成し遂げました。

そこで今回は、この中国が30年間でどれだけ変わったのかを、日本と比較しながら見てみました。

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経済面

各国の国力を現す名目GDPはどう変わった?

下のグラフは、1990年~2020年までの日本と中国の名目GDPの推移を比較したもので、データの出典は「IMF – World Economic Outlook Databases」です。 (グラフの出典は世界経済のネタ帳 )

これを見ると、中国経済の成長がいかに凄まじいものか、逆に日本経済がこの30年間全く成長していないことわかると思います。
特に中国は、2004年に国家主席が日本嫌いで有名な江沢民氏から科学的発展を唱えた胡錦濤氏に変わってから成長の勢いを増していきます。実際、中国の名目GDPは上海万博が行われた2010年からたった10年で約3倍も増えているのです。ただ、中国社会が未だに日本とは比較にならない程貧富の差が大きいことを考えると、きっと上位1割(と言っても優に1億人以上!)は、たった10年間で10倍も20倍もの所得を得ているのでしょう。これって、日本的にいうならば、25歳で年収200万円だった人が35歳には年収2,000~4,000万円にもなるということです。まあ、銀座のブランド店での中国観光客の爆買いも当然のことなんでしょうね。

中国日本
1990年396.583,132.82
2020年15,222.164,910.58
成長率3,838%157%

単位: 10億USドル、2020年の数値はIMFによる2020年10月時点の推定値

1990年当時の上海

1990年当時の上海。ビルなど一つもない浦東地区。

現在の上海

外灘から見た現在の上海浦東地区

急変してしまった世界の名目GDPシェア構造!

このように短期間で脅威的な経済成長をしている中国ですが、世界経済全体で見た時のポジションはどう変わったのでしょうか?
下のグラフは、国連のIMFの資料をもとに作成した1990年の世界の名目GDPシェアです。

 

これを見ますと、1990年当時は米国と共に日本がいかに突出した経済大国であったかわかると思います。逆に成長し始めたばかりの中国は、まだ日本の1/8程の1.7%のシェアにとどまっており、世界経済世界のGDPシェア1990年におけるその存在感は微々たるものだったのです。
実際に1980年代前半に大手金融機関に就職した自分は、1980年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉に象徴された日本経済の絶頂期を味わって来たので、当時の世界経済への日本の影響力がいかに大きかったか身をもって経験しました。一方の中国は、1990年に出張で上海に行った時には、外国人の使う紙幣(兌換紙幣)と中国人が使う紙幣が分かれており、「まだまだ資本主義化してないなぁ」と感じました。また、街中には高層ビルなど一つもなく、人民服を着て自転車のるお年寄りがたくさんいたのを覚えています。

次は、30年後の2020年の世界の名目GDPシェアです。

世界のGDPシェア2020年

依然としてトップは米国でたった1国で全世界のGDPの1/4を占めています。30年前にダントツで2位だった日本は、そのシェアが1/2以下に低下し、6.0%で3位になってしまいました。一方中国は、シェア1.7%から16.9%まで急進し、米国に次ぐ世界第二位の経済大国になっているのです。今や、中国は日本の3倍近い経済力を持っているのです。
時代は変わったのです。
少子高齢化の中で人口が減り、この30年間に自民党政権の元くだらないことにお金を使ってきた結果積み上げられた世界でも類を見ない膨大な財政赤字(=これからの世代が背負う借金)の日本はどうなってしまうのでしょうか?

それにしても、中国の伸長は凄いですね。最近のOECDの予測では、コロナショックからいち早く立ち直った中国は、あと数年前で米国さえも抜いてしまい、世界1のGDPになってしまうかもしれないのです。日本も腹を括り、次の30年間をどう生きて行くかを考えなければならない時のような気がします。

2020年の上海地下鉄配線図

1990年当時は地下鉄は1本無かったのですが・・・、2020年の現在ではまるで東京のような上海地下鉄配線図

参考までに、英国の有名な国際会計事務所PwC社が予測した30年後の2050年の世界のGDPシェアをご紹介します。
※英国PwC社→ロンドンを本拠地とし、世界158カ国に18万人のスタッフを擁する世界最大級のシンクタンク

<2050年の購買力平価ベースGDP予想>

国名GDP
(10億ドル)
1位中国61,079
2位インド42,205
3位米国41,384
4位インドネシア12,210
5位ブラジル9,164
6位メキシコ8,014
7位日本7,914
8位ロシア7,575
9位ナイジェリア7,345
10位ドイツ6,338
11位 英国5,744
12位 サウジアラビア 5,488
13位 フランス 5,207
14位 トルコ 5,102
15位 パキスタン 4,253
恐ろしいことに30年後の2050年には、もはや米国は中国、インドにつぐ第3位になってしまい、日本や欧州主要国は中国の1/8~1/10以下のいわゆる小国のポジションになっています。

入れ替わってしまった経済を支配するグローバルメガバンク!

次に、事実上世界の経済に大きな影響力を持つグローバルメガバンクが、この30年の間にどう変わったかを見てみます。

下の表は、英フィナンシャルタイムズが発行する「ザ・バンカー」に掲載された1990年度のグローバルメガバンクTop20です。

銀行名
1位住友銀行
2位第一勧業銀行
3位富士銀行
4位クレディ・アグリコル
5位三和銀行
6位三菱銀行
7位バークレイズ
8位ウエストミンスター銀行
9位ドイツ銀行
10位日本興業銀行
11位スイス・ユニオン銀行
12位シティコープ
13位カンパニーファイナンス・パリバ
14位 東海銀行
15位香港上海銀行
16位 中国銀行中 
17位日本長期信用銀行
18位パリ国立銀行
19位スイス銀行
20位東京銀行

今では考えられませんが、世界のトップ20行のうち、実に8行が日本の銀行で特に上位3行は全て邦銀なのです。まさに、狂乱バブル経済の産物と言えると思います。一方、GDPではダントツだった米国は12位のシティコープ1行だけで、また注目の中国も16位の中国銀行1行だけでした。
整理してみますと、ベスト20行の国別内訳は日本8行、フランス4行、イギリス3行、スイス2行、ドイツ1行、米国1行、中国1行です。やはりこのころはまだまだ金融工学も発達していなかった時代なので、長い歴史を持つ欧州資本が強かったんですね。

ところが、この30年間のに経済のグローバル化の荒波と中国の急速な台頭により世界の金融機関のランキングは大きく変わってしまいました。下の表は、有名な格付け会社「S&P Global Market Intelligence」が発表した、総資産額に基づいた 2019年版グローバルメガバンクTop20です。

銀行名
1位 中国工商銀行    中
2位中国建設銀行 中
3位中国農業銀行  中
4位中国銀行 中
5位三菱UFJフィナンシャルG 日
6位 JPモルガン・チェース銀行 米
7位 HSBC 英
8位 BNPパリバ 仏
9位 バンク・オブ・アメリカ 米
10位 クレディ・アグリコル 仏
11位 ウェルズ・ファーゴ 米
12位 ゆうちょ銀行 日
13位 シティグループ 米
14位 三井住友フィナンシャルG 日
15位 ドイツ銀行 独
16位 サンタンデール銀行 西
17位 みずほフィナンシャルG 日
18位 バークレイズ 英
19位 ソシエテ・ジェネラル 仏
20位 BPCEグループ 仏

驚くことに、上位4行は全て中国の銀行に入れ替わっているのです。一方日本の銀行は、三菱UFJフィナンシャルGが5位に、ゆうちょ銀行が12位、三井住友フィナンシャルGが14位、みずほフィナンシャルGが17位で計4行だけがランクインしています。
整理してみますと、ベスト20行の国別内訳は中国4行、日本4行、米国4行、フランス4行、イギリス2行、ドイツ1行、スペイン1行です。

こう見てきますと、この30年間は中国の躍進と日本の衰退の時代だったと言えそうですね。また、米国のIT技術をベースとした金融工学による躍進も見逃せないですね。

世界のトップ企業の顔ぶれの変化は?

次は、株式時価総額から見た世界のトップ企業の変貌を見てみます。下の表は、ダイヤモンド社が発表した、総資産額に基づいた1989年当時の株式時価総額Top20です。

企業名
1位NTT
2位日本興業銀行
3位住友銀行
4位富士銀行
5位
第一勧業銀行
6位IBM
7位三菱銀行
8位エクソン
9位東京電力
10位ロイヤル・ダッチ・シェル
11位トヨタ
12位GE
13位三和銀行
14位野村証券
15位新日本製鐵
16位AT&T
17位日立製作所
18位松下電器
19位フィリップス・モリス
20東芝

皆さんはこの表を見てどう思いますか?
なんと20社中16社が日本の企業なんです。しかも上位5社は全て日本企業です。今ではとても考えられませんが、ひと時代昔のバブル期はそうだったんです。

続いて下の表は、有名な国際会計事務所PwC社が発表した、総資産額に基づいた 2019年株式時価総額Top20です。

企業名備考
1位マイクロソフト 
2位アップル 
3位アマゾン 
4位アルファベットGoogleの持ち株会社
5位
バークシャー・ハサウェイ
ウォーレン・バフェット氏の投資会社
6位フェイスブック 
7位アリババ 
8位テンセントWeChatを提供する中国のIT企業
9位ジョンソン・エンド・ジョンソン 
10位エクソンモービル 
11位JPモルガン・チェース 
12位Visa 
13位ネスレ
14位中国工商銀行 
15位ウォルマート 
16位バンク・オブ・アメリカ 
17位P&G 
18位ロイヤル・ダッチ・シェル
19位ノバルティススイスの製薬・バイオ
20ベライゾン・コミュニケーションズ米国最大の通信持ち株会社

このランキングを見る限り、今の世界は完全にIT系を中心とした米国企業に牛耳られていると言ってもいいと思います。そんな中で、中国のIT企業がTop10に食い込んでいるのが象徴的です。日本はというと、あの天下のトヨタですら42位で、他はすべて50位以下となっています。来年から世界は本格的な5GとAI時代に突入しますが、残念ながらこれらの分野でさしたる企業を持たない日本は、今後もしばらくの間は嘗てのような世界市場での活躍など期待できませんね。

驚異的な膨らんだ中国の貿易額!

最後は貿易です。国連貿易開発会議(UNCTAD)によれば、1990年の全世界の貿易額(各国の輸出額の総計)は3兆4956億7500百万ドルだそうです。最近の日本のGNPが5兆ドル弱であることを考えると、グローバル化が始まったばかりとは言え、全世界で3.5兆ドルというのは少ないように感じますね。
さて下の表は、1990年の輸出額Top20の国です。

順位国名輸出総額
1ドイツ421,100
2米国393,592
3日本287,580
4フランス217,262
5イギリス185,107
6イタリア170,304
7オランダ131,775
8カナダ127,629
9ベルギー117,703
10旧ソビエト連邦103,840
11香港82,390
12台湾67,245
13韓国65,016
14スイス63,784
15中国62,091
16スウェーデン57,538
17スペイン55,521
18シンガポール52,730
19サウジアラビア44,417
20オーストリア41,135

出典:国連貿易開発会議(UNCTAD)

ちょっと驚いたのは、米国ではなくドイツが1位だったことです。やはり、この頃の米国はビック3の衰退により輸出は不調だったようです。さて、1位のドイツ、2位の米国に続く3位は自動車と家電の輸出立国と言われた日本です。そのあとも欧州各国が続いています。中国はというと、621億ドルでまだ世界15位。やはり、この時代は完全に日米欧が世界の貿易を支配していたのですね。

そして30年後の2020年です。全世界の貿易額(各国の輸出額の総計)は18兆9330億3700百万ドルで30年前の5.4倍以上です。そんな中で1位はダントツで中国です。その額は2兆4994億ドルもあり、世界全体の輸出額のなんと13%にも上り、1990年と比べるとなんと40倍です。続く2位は米国、3位はドイツ、4位はオランダ、そして5位に日本となっています。ちなみに1990年との比較では、米国は4.2倍、ドイツは3.5倍、オランダは5.4倍、日本は2.4倍です。こう見てきますと、如何に中国の成長が跳びぬけているかがわかると思います。

順位国名輸出総額
1中国2,499,457
2米国1,643,161
3ドイツ1,489,152
4オランダ709,415
5日本705,564
6フランス571,465
7韓国542,233
8香港534,887
9イタリア532,663
10イギリス469,684
11メキシコ460,704
12カナダ446,873
13ベルギー444,679
14ロシア419,850
15シンガポール390,763
16スペイン333,622
17台湾330,622
18インド324,250
19アラブ首長国連邦315,916
20スイス313,934

このように、ここ30年の間に中国は米国と肩を並べる経済大国になっていたのです。かろうじてIT分野だけは、GAFAを抱えている米国がまだ大きく世界をリードしていますが、最近ではその分野ですら中国の台頭が目立って来ています。
いったい30年後の2050年には、世界そして日本はどうなっているのでしょうか?

軍事面

では、安全保障・軍事という面では、この30年の間にどのように変わったのでしょうか?

下の表は、世界銀行が毎年発表している各国の軍事費の1990年のTop20です。
出典:世銀単位 : 百万米ドル
ソ連の衰退と共に冷戦が終了したこのころの軍事費№1は、ご存知の通り米国です。その額も3,000億ドル以上と桁違いに大きく、なんと米国1国で世界全体の軍事費の34%も占めていたのです。実はこの年は湾岸戦争があった年で、近代兵器で固められた米国軍の圧倒的な強さに世界中が驚愕したのです。ちなみに中国は米国の1/10以下の278億ドルで7位、日本は222億ドルで10位でした。

<1990年軍事費ランキング>

国名軍事費
1米国306,170
2サウジアラビア62,628
3ドイツ36,993
4インド34,574
5フランス34,443
6イギリス34,054
7中国28,657
8クウェート25,594
9ブラジル23,638
10日本22,215
11イタリア18,526
12パキスタン15,213
13韓国12,837
14イラン12,280
15トルコ11,682
16スペイン11,577
17台湾10,750
18カナダ10,736
19南アフリカ8,930
20イスラエル8,836
湾岸戦争

最新兵器で米国軍の圧倒的な強さを世界中に見せつけた湾岸戦争

下の表は、同じく世界銀行発表の2018年の各国の軍事費Top20です。
世界全体の軍事費は2兆9167億ドルで、先の1990年と比べると約3倍に膨らんでいます。
国別に見ると、1位は相変わらず米国で6,488億ドルです。30年前と比べても2.2倍に増加しています。ただ、注目すべきは中国でここ30年の間にその軍事費は17倍に急増しており、トップの米国の7割強にまで達しているのです。また、近年IT産業分野で成長著しいインドも2,505億ドルと30年前の7倍以上に増加しているのです。

中国軍事パレード

さらに中国とインドは、共にあと10年以上は米国を遥かに上回るペースで経済成長を続けることが確実視されており、その間軍事費は増加し続けると思うとゾッとするものがあります。
まあ、米国・中国・インドのような大国同士が、全面戦争に突入するとは考えにくいのですが・・・。
きっと30年後の2050年には、日本など「吹けば飛ぶような存在」になっているのでしょうか?
皆さんはこの現実をどう思いますか?

<2018年軍事費ランキング>

国名軍事費
1米国648,798
2中国465,947
3インド250,509
4サウジアラビア160,368
5ロシア147,721
6フランス70,594
7トルコ58,690
8ドイツ55,767
9韓国55,583
10イギリス54,410
11日本51,420
12ブラジル50,005
13パキスタン47,407
14イラン45,844
15アルジェリア35,061
16アラブ首長国連邦34,595
17イタリア34,099
18インドネシア24,938
19オーストラリア24,934
20スペイン24,426
21ポーランド24,324

このように世界が大きく変わっている中、日本は自らの利益ばかりを追い続ける無能な政治家と官僚たちが主導してきたため、失われた30年という悲惨な結果になっているのではないでしょうか?
まだまだ日本の衰退は始まったばかりで、今後も何十年かは続くと思います。政府には一刻も早く、「問題が起こってからの急場しのぎのツギハギ政策立案」から、「身の程をわきまえた国民利益優先の中期政策立案と確実な実行」に切り替えて欲しいものです。
皆さんは、どう思いますか?

 

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