電動車椅子で飛行機しかも格安LCCに初めて搭乗!

片麻痺ライフ

自分はかれこれ3年以上電動車椅子Whill c2を愛用しており、この車椅子を利用してこれまで東京近郊の様々な観光地を鉄道を使い一人旅してきました。しかし最近は「たまには昔のように飛行機を使い遠出してみたいなぁ」と考えていました。

そんな中いつものようにネット内をウロチョロしていたら、偶然にも四国の道後温泉にある障がい者更生センター「道後友輪荘」という公共の宿泊施設を発見したのです。その施設は完全バリアフリーの車椅子用の部屋と大浴場があり、驚いたことに素泊まりなら障害者とその介助者は一人一泊2,680円(税・サービス料込)で宿泊できるのです。

最初自分はいつものよに鉄道を利用して行くことを考えいろいろと調べていたのですが・・・ 新幹線と特急を利用しても、片道だけでDoor to Door約9時間もかかり、しかも料金は障害者割引を利用しても約2万円(往復4万円)もかかることがわかりました。「こりゃ、いくら宿泊費が安くても1週間以上の長期滞在しなければ割が合わないなぁ・・・」と思いつつ半分諦めていました。次に自分は「ダメもとで飛行機を利用する場合も調べてみるか?」と思い、再びPCに向かいました。

これまで自分は、JALやANAのような普通の航空会社の飛行機には電動車椅子でも障害者割引運賃で利用できることは知っていましたが、「サービスを抑え低価格を実現しているLCCには車椅子利用者のような手間のかかる客は搭乗できないだろう」とずっと思っていました。しかしいろいろ詳しく調べてみると・・・、電動車椅子でも事前に連絡に一定の手続きをすればLCCを利用できることが判明!まさに、自分にとって「目うろこ」状態でした。ただしこの場合は、羽田ではなく成田空港利用になるため所要時間はDoor to Doorで5時間ほどかかりますが、鉄道利用の場合の1/2強です。しかも総交通費は、往復で約2万円とこちらも鉄道利用のほぼ1/2!これを知った自分は、すぐさまネットで予約手配をし、6日後には出発していました。

電動車椅子を使い生活している人の中には、自分のように「お金は無いけど、たまには飛行機を使って全国各地を旅行したい」と思っている方もいると思います。 そこで今回は、そんな方々の参考になればと思い、自分が今回の旅行で実際に経験したLCC(今回ジェットスター)とのやりとりや搭乗するまでの手順等を詳しく書き綴ってみました。

便の予約確定まで

利用便の予約作業

この段階では、通常の予約方法と同じように氏名や年齢、連絡先、希望の便等を、直接ジェットスター公式ホームページから往復(片道でもOKです)の予約をごく普通に入力し送信します。ただし、この際の予約手続きの最後のほうで「特別な介助が必要かどうか尋ねられる」ので「車椅子利用者でサポートが必要」と回答します。これを忘れると普通のお客と判断され、当日車椅子での搭乗は断わられてしまうのでご注意ください。

細かい車椅子情報の伝達と審査

ここで一旦予約作業は終わりますが、この段階ではどうやらまだ「仮予約状態」のようで、送信後直ぐに航空会社の方から登録したメールアドレスにメールが入り、「車椅子のタイプ、サイズ、電動式ならバッテリーの種類や重さなど」車椅子の取扱説明書を見ないととても答えられそうもないかなり細かい点まで尋ねられます(=画面に表示される電動車椅子仕様確認書への記入)。ジェットスターの場合は、この作業を原則として搭乗日の「5日前」に済ますことが求められます。その後、1-2日すると航空会社の方から「承認番号の入った仕様確認書」がメールされてきます。この段階で正式に予約が確定し搭乗や車椅子の預けが可能になります。

一見すると大変そうですが、2-3回のメールやり取りできるので簡単です。逆にあまりにも簡単なので「本当にこれで搭乗出来るの?」と当日カウンターでチェックイン手続きを完了させるまでやや不安でしたが、何の問題もありませんでした。

費用や制限事項について

ちなみにジェットスターの場合、以下の条件を満たしている電動車椅子は追加料金なしで預かって貰えるそうです。※2023年3月31日時点(オフィシャルサイトより)

●サイズ・重量

 高さ長さ重さ
Boeing 787型機1.5m1.6m1.5m32kg
Airbus A320/A321型機1.4m1.0m1.4m

●その他

車椅子利用者の搭乗は1フライト2名まで

※この他にもいろいろと細かい制限があるようですが、これらはあくまでも「原則として」のようで、自分の電動車椅子Whill C2は50kg以上の重さがあるのですが、無料でした。とにかく予約の時点で航空会社のスタッフにいろいろ相談することですね。

搭乗当日

搭乗当日は、出発時間の90分前までにチェックインカウンターに来るように指示されます。

チェックイン作業

当日成田のジェットスターのチェックインカウンターにいるスタッフに声をかけると「承認番号の入った使用確認書」の提示を求められました。。これは紙でなくても事前にジェットスターから送られてきたスマホ内にあるメールを見せればOKです。 その後、普通にチェックイン手続き預け荷物手続きを行ないます。そして最後に電動車椅子の預け作業です。 まず、機内持ち込み荷物だけを持ちジェットスターのスタッフが用意してくれた車椅子に乗り換えます。この車椅子は機内の狭い通路でも通れる特別仕様の小型のもので、自走はできませんし乗り心地も××ですが、しょうがないですね。今回の自分の電動車椅子Whill c2はリチウムイオンバッテリーなので預けることは出来ず、ここで車椅子から外し機内持ち込み荷物の中に入れます。そして最後にスタッフが電動車椅子の重量を計測して終わりです。最初にスタッフに声をかけてからここまでの所要時間は約10分程度でした。 この後、ジェットスターのスタッフにサポートされ手荷物検査場を通り、搭乗ゲート前まで移動しそこで一度ジェットスターのスタッフと別れ、搭乗時間まで30分ほど動けない車椅子に座ったまま一人で待ちました

搭乗から離陸まで

その後、搭乗準備が整うと再びジェットスターのスタッフが現れ、いよいよ機内へ搭乗するのですが・・・、驚いたのはこの搭乗ゲートには搭乗橋(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)がなく、バスで駐機場まで移動し、タラップを上る方式だったのです。自分はタラップは上がれないので、通常荷物を飛行機に積込むときに使う荷台全体がリフトする車に、車椅子のまま乗り込み搭乗機まで移動し、タラップが取り付けられていない搭乗口を開けて貰いそこから車椅子に乗ったまま機内に乗り込みました。これには、本当に驚きました。ちなみに帰りの便ではボーディング・ブリッジが利用でき、搭乗ゲートから機内までの移動は10秒程度で非常にスムーズでした。後から知ったのですが、ボーディング・ブリッジがない搭乗ゲートを使用しているのはLCCだからのようです。まあ、成田の発着枠もパンパンで急遽LCCの為に第三ターミナルをオープンさせたわけですから仕方がないですよね。ただ、今どき先進国の国際空港でボーディング・ブリッジがない搭乗ゲートを使用しているとは、恥ずかしい気もしますが・・・。

松山空港のボーディングブリッジ。これがあれば飛行機の乗り降りが格段に楽なのに・・・。

さて話を戻しますが、機内に入ると航空会社のランドスタッフが自分の座席の横まで車椅子で送ってくれるので、そこで飛行機の座席に移乗しシートベルトを締め搭乗完了です。ちなみに完全なる優先搭乗のようで機内には他のお客さんはまだ1人もおらず、自分が着席してから1-2分もすると、他のお客さんが次々に搭乗してきました。なお座席は行きも帰りも前から2番目の通路側=2Cを用意して頂き、奥の2Aも2Bも空席でした。

最後に到着地の松山空港着陸後ですが・・・、

全てのお客さんが降機し終わると、松山空港のジェットスターのランドスタッフが専用車椅子を持って機内に乗り込んできてくれるので、それに移乗しボーディング・ブリッジを通り、荷物のターンテーブルのところまで行きます。そこには預けた荷物と電動車椅子が用意されており、スタッフの方に機内持ち込み荷物からバッテリーを取出し車椅子に差し込んで貰ってから、最後に自分が電動車椅子に移乗しました。ここまででジェットスタースタッフのサポートは終了します。ちなみに着陸してからここまで所要時間15分程度でした。

今回、電動車椅子で初めての航空機しかもLCCの利用でしたが、非常に安い料金なのにここまでして頂いて感謝以外の何もありませんでした。ありがとうございました。😌

なお、自分は麻痺の関係で言語障害がある為、今回の航空会社との各種やり取りは電話は一切使わず全てネットでやりましたが、当たり前ですが電話を通じてのやり取りでも可能なようです。また、チェックインカウンターに電動車椅子を預けてから到着地で電動車椅子に乗るまでの間はトイレや買物は一切出来ないのでご注意ください。

参考)成田空港第三ターミナルの行き方

最後に、今回自分も初めて利用したLCCが使用している「成田空港第三ターミナル」への行き方についてご説明します。

成田空港を利用する大半の人は、JRもしくは京成電鉄の空港第2ビル駅を利用すると思いますが、両方とも改札を出るとすぐ目の前に第三ターミナルビルへの道案内看板があるのでまず迷うようなことはないでしょう。第二ターミナル駅から第三ターミナルビルまでは徒歩か空港内移動バスで移動しますが、たかだか500m程度なので、自分はバスの乗り降りが面倒なので電動車椅子でそのまま移動しました。仮に成田空港が初めての人でも、まあ30分も見とけば余裕です。また、雨が降っていても濡れる心配はありません。

参考) 最終的にかかった費用

最後に今回の道後温泉旅行でかかった交通費をまとめてみると、以下の通りでした。

往復の航空運賃 → 15,680円(含む空港使用料、預ける荷物料) ※これはJAL等の障害者割引適応後の運賃の半分以下です。 ※LCC場合、電動車椅子は無料でしたが、通常の預け荷物は有料なので注意してください。 ・成田空港までの往復の電車賃 → 約3,200円 ・松山空港から宿までの往復の交通費 → 約1,000円

合計 約20,000円

LCCってほんと安いですね、

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