農協改革や企業農業参入促進などの農業改革は本当に進むのか?

農業改革政治・行政

政府は半世紀近くにわたって日本の農業を続けてきた束縛してきたコメの生産調整、いわゆる減反政策を今年2018年からついに廃止しました。
これからは農家が、自らの判断でコメの作付けを行うことが出来るようになるのです。
そこで今回は、アベノミクスの成長戦略の目玉に位置づけられている「農業改革」についてみていきます。

減反政策の廃止

改革の目玉の1つは、「減反政策の廃止」です。

一般的に、農家が作るコメの量を制限する生産調整のことを「減反」といいます。
つまり、「減反政策」とは、政府による米の生産調整する政策のことです。簡単にいうと・・・、
「田んぼでつくる米の量を減らし、他の作物をつくるよう、国が進めること」
です。そして、この減反に協力した農家には、国が「戸別所得補償」として、10アールあたり7,500円を支給してきたのです。

ちなみに、この減反の「反」というのは面積を表す言葉で、1反は約10アールでテニスのシングルコート5面分程度の広さです。この広さの水田では、大人が1年間に食べるコメの量=約150㎏(1石)が収穫できるそうです。

水田と減反政策

「減反」の廃止により、生産者は市場ニーズにあわせ、品種や生産量など臨機応変なコメの生産を行えるようになるため、生産者同士の競争も活発になり、農業経営の大規模化や効率化が進むことが期待されています。
一方、消費者はより美味しいお米を、これまでよりも安く買えるようになる可能性が高まるというのが政府のシナリオです。

農協の改革

続いての改革の目玉は、「農協の改革」です。

JA(農業協同組合)とは、地域の農家が集まって相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい地域社会を築くことを目的に組織された協同組合です。現在の日本の農協は職員20万人を抱える巨大組織です。
そうした地域農協は、日本固有のものではなく世界各国にも存在しています。

日本の特異性はそうした地域農協の上に全国の巨大組織である全国農協中央会(JA全中)や全国農業協同組合連合会(JA全農)が君臨していることです。
この巨大組織は、すでに「農家の経営改善や農業生産の拡大を支援する組織」といった本来の姿から変貌し、肥大化した金融事業(JAバンク等)、農家以外の組合員の拡大など様々な問題を抱えています。

ちなみに、JAバンクの貯金残高は2014年3月時点で91兆円まで拡大し、みずほ銀行(102兆円)や三井住友銀行(85兆円)と国内銀行2位を争うメガバンクとなっています。しかし、そのJAバンク貯金のうちの農業に融資されているのは1~2%しかないそうです。
また、農協の組合員は全国で1,000万人以上おり、准組合員と呼ばれる非農家組合員が全体の6割弱を占めています。非農家の准組合員の方が多い“農業”協同組合というのは異常だと思いませんか?

JAグループ

「農協の組織原理が作り上げた高コスト体質農業」とか「農業を衰退させて発展した農協」などと水面下で言われ続けましたが、このような状況下、政府は全国農協中央会(JA全中)の権限縮小(全国約680の地域農協に対する監査・指導権の廃止)、全国農業協同組合連合会(JA全農)の事業見直しはかり、農家のための農協を戻すことを目指しています。

企業の農業参入を促進

そして最後が「企業の農業参入を促進」です。

具体的には、農地取得も可能な「農業生産法人」に対する企業の出資を、全株式の50%未満まで緩めます。現行の農地法では、食品関連など一部の企業を除いて25%以下に規制していますが、この規制を緩和することで企業の農業参入を促進するつもりです。
民間企業の資本力を生かした「農地の大規模化」や、加工・流通・販売などで企業のノウハウを活用した「6次産業化」を進めて経営基盤を強化するのが狙いです。

これまで、高い関税と多額の補助金で外国産農産物から国内市場を守ってきた日本。しかし、TPPこそ流れましたが、近いうちに農業もグローバル化の流れはきっと来るでしょう。
先送りばかりしてきた農業改革。今度こそしっかりと推し進めないと少子高齢化社会の中で日本の農業は滅びてしまうのではないでしょうか?
本当に、今の日本の政治家や農水省の官僚たちにできるのでしょうか?

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