チェルノブイリ事故で脱原発を決意したイタリア国民の勇気

国際社会

2011年3月に起きた福島原発事故からあっという間に9年が過ぎました。しかし、日本政府ののらりくらりの対応で、未だに被災者の多くは悲惨な生活をし、また「原発反対」という世論の声に押され、日本のエネルギー政策も曖昧なままです。しかし、イタリアは1986年に旧ソ連でチェルノブイリ事故が起きた翌年から国内の原発をすべて停止し、現在も稼働している原発が1基もないのをご存知でしょうか?

そこで今回は、このイタリアの脱原発や最近の世界的なエネルギー事情について、いろいろと調べてみました。

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原発先進国だったイタリア国民が下した決断

イタリアは、人口6000万を抱える欧州でも代表的な先進国ですが、国内のエネルギー資源が乏しく、日本同様に海外に依存する型的なエネルギー小国です。

そのため、早くから原子力発電の研究開発が進められ、 旧ソ連(1954年稼働開始)・イギリス(1956年稼働開始)・アメリカ(1957年稼働開始)に続いて、世界で4番目に早く1963年に原発を稼働させた国なのです。

ちなみに日本では、1970年に稼働した福井県にある関西電力美浜発電所が最初で、実はその翌年には、事故起こした東京電力福島第一発電所が稼働を始めていたのです。


このように当初は原発に前向きだったイタリアですが、1986年に旧ソ連のチェルノブイリで原発事故が起こると、180度国民の意識が変わり、「原発反対派」が圧倒的な多数派になりました。

その背景には、1980年代初頭から高まりつつあった環境意識とチェルノブイリ原発事故による食物の放射線汚染問題があったようです。

その後、1987年に行われた国民投票で「原発の稼働停止」が約8割という結果で支持され、結果的に、1990年には当時イタリア国内にあった4箇所の原発は、すべて稼働停止となったのです。

原発停止後のイタリア国民の苦労と見習うべき信念

原発停止後のイタリアは、慢性的な電力不足で、隣国のフランス、スイスなどからアルプス越えで電力を輸入して電力需要をまかなってきてたが、産業界を中心に原発再開を求める声が強まったため、2008年にベルルスコーニ政権は脱原発政策を転換を発表しました。

2011年には、原発再開の是非を問う国民投票行われましたが、その数ヶ月前に起きた福島の原発事故が大きく影響し、結局「原発の稼働停止」が9割以上という結果で再び圧倒的多数で支持されたのです。

この一連の流れを簡単にまとめると、以下の通りです。

  1963年 イタリア初の原発が稼働
  1986年 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故発生
  1987年 国民投票で原発の稼働停止に約8割が賛成
  1990年 イタリア国内4カ所の原発全て稼働が停止
  2008年 ベルルスコーニ政権が原発再開の方針
  2011年 国民投票で原発再稼働に9割以上が反対

こう見てくると・・・、

産業界や政治家は、「どうせ国民は、喉元過ぎれば、熱さ忘れる」と考えていたのでしょうが、まだまだ何十年もの間、原発事故の影響は残るのは確実です。
一方で国民のほうは、この福島原発事故で「原発は地元のためではなく、一部の政治家や経済界のためのもの」と痛感したのではないでしょう。

このようにして原発を使わないで30年以上もエネルギーを確保してきたイタリアですが、2015年のエネルギー別発電電力量構成比を見てみると、 様々なエネルギー源をミックスした結果、再生可能エネルギー比率が38.8%まで高まってきています。

イタリアのエネルギー別発電電力量構成比(2015年)
グラフ内は上から、石炭、液化天然ガス、その他の非再生可能エネルギー、
水力、風力、太陽光発電、その他の再生可能エネルギー

脱原発後で様々な苦労を続けてきたイタリア及びイタリア国民ですが、きっと近い将来、世界に先駆けて脱原発を実現したことが、いろいろ面で功を奏すると思います。

おやじ
おやじ

さすが、頑固なイタリア人!見習うべきたなぁ・・・。

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