2011年3月の東日本大震災の福島原発事故以来、日本にある原発はいったん運転を停止しました。しかし、いくつかの原発では再稼働を開始し、2018年3月現在、日本で稼動している商業用原子力発電所は、川内原発2号機と高浜原発3、4号機、及び大飯原発3号機の合計4基になっています。
今回は世界の原発事情について見てみました。
世界の電力需要の11%をまかなう原発
現在、世界には439基の原発があります。
その発電能力は約3億9200万キロワットにも達し、全世界の発電量の約11%を占めています。
国別に原発数を見てみると・・・、
1位はアメリカで99基、2位はフランスで58基、そして3位は日本で42基となっています。これは、小さな島国の日本1か国に世界の原発の約10%が集中していることになるのです。東日本大震災前までは、まさに原発大国だったのですね。
以下続いて、4位中国で35基、5位ロシアで30基6位 韓国 25基、7位インドで21基、8位カナダで19基、9位ウクライナで15基、10位イギリスで15基となっています。
順位 | 国・地域 | 原発数 | ||||
1位 | アメリカ | 99基 | ||||
2位 | フランス | 58基 | ||||
3位 | 日本 | 42基 | ||||
4位 | 中国 | 35基 | ||||
5位 | ロシア | 30基 | ||||
6位 | 韓国 | 25基 | ||||
7位 | インド | 21基 | ||||
8位 | カナダ | 19基 | ||||
9位 | ウクライナ | 15基 | ||||
10位 | イギリス | 15基 | ||||
11位 | スウェーデン | 10基 | ||||
12位 | ドイツ | 8基 | ||||
13位 | スペイン | 7基 | ||||
14位 | ベルギー | 7基 | ||||
15位 | 台湾 | 6基 | ||||
16位 | チェコ | 6基 | ||||
17位 | スイス | 5基 | ||||
18位 | フィンランド | 4基 | ||||
19位 | ハンガリー | 4基 | ||||
20位 | スロバキア | 4基 | ||||
21位 | パキスタン | 3基 | ||||
22位 | ブルガリア | 2基 | ||||
23位 | ブラジル | 2基 | ||||
24位 | 南アフリカ | 2基 | ||||
25位 | ルーマニア | 2基 | ||||
26位 | メキシコ | 2基 | ||||
27位 | アルゼンチン | 2基 | ||||
28位 | イラン | 1基 | ||||
29位 | スロベニア | 1基 | ||||
30位 | オランダ | 1基 | ||||
31位 | アルメニア | 1基 | ||||
全世界の原発数 | 439基 |
増え続ける世界の原発
現在世界で「建設中」の原発は合計で69 基。そのうちエネルギー需要が急増している中国が20基を占めています。他にも中国同様にエネルギー需要が急増しているインドなどの発展途上国での原発建設が多くを占めています。
ちなみに、日本エネルギー経済研究所では「2035年には、中国は米国を抜いて世界1位の原発大国となる」と予測しています。
反原発運動は中国やインドなどの発展途上国でも行われているものの、結局は経済発展とコスパが優先され、原発利用を拡大する方針となっているのです。
福島事故後に脱原発を決めたのは、ドイツやスイスなどごく一部の国だけで、結局のところ、世界の趨勢は原発拡大となっているのが現実です。
反原発、再生可能エネルギー優先の国は?
現在、世界の中で「反原発、再生可能エネルギー優先」の国はというと・・・、
オーストラリア
国内に石炭、石油、天然ガスといった豊富なエネルギー源を持つオーストラリアは、原発を持っておらず、また近年は再生可能エネルギー優先の政策をとっています。
ブラジル
以前は6基建設予定であったが、1つは建設されたけど利用されずに終わり、残りの5つは「国の観光産業に悪影響がある」との懸念で建設途中で止まっています。
デンマーク
以前原子力発電を行っていたが、1985年以降すべて廃炉としています。現在では、風力発電を中心に再生可能エネルギー優先の政策をとっています。
ドイツ
現在は稼働中であるが、福島原発事故を機に「エネルギー革命」という政策を採択し、すでに8基を廃炉、2022年までに残りのすべてを止めると計画です。現在は、2050年までに「再生可能エネルギーによる発電比率を80%」を目指しています。
→→→ エネルギー革命で、ドイツは2022年には原発ゼロ!
イタリア
1986年に起こったチェルノブイリ事故の後、国民投票で原発利用が大多数の反対票となり、国内の原子力をゼロにしました。
→→→ チェルノブイリ事故で脱原発を決意したイタリア国民
アイスランド
1973年の石油危機をきっかけにアイスランドにおける地熱開発が本格化しました。現在では電力の約7割は水力発電で、約3割を地熱発電でまかなっており、ほぼ100%自然エネルギーによる電力を実現しています。そのため、アイスランドには火力発電所も原子力発電所もありません。
ブータン
急峻な国土でヒマラヤの雪解け水に恵まているブータンは、その電力の99%が水力発電です。その電力自給率はなんと400%で、国内ではその約1/4しか使用しないので、残り約75%はインドに輸出し、この電力の輸出に伴う収入が、ブータンのGDPの40%に達しています。
福島原発事故の賠償・廃炉費用は20兆円以上、事故からすでに30年以上もたつチェルノブイリの現状や7年目の福島の現状を考えれば、日本も過去の原子力政策の失敗を認めて、その場しのぎの原子力行政を諦め、脱原発を早く決断すべきではないでしょうか?












