大学淘汰の始まり「2018年問題」と国や地方自治体からの補助金

大学

現在、日本には764校の大学があり、完全に飽和状態にあると言われています。しかし、今後の少子高齢化社会の急速な進展の中で、私立大学を中心に生き残り競争が続くと予想されています。
そこで今回は、この「大学淘汰時代の実態」について調べてみました。
(データの出典:文部科学省

文科省の政策のもとで増え続けてきた大学数

平成29年度末現在、日本の大学数は764校。内訳は国立大82校、公立大87校、私立大588校で私立大が77%と8割近くを占めています。

下のグラフは、4年制大学の数とその学生数の推移です。

4年制大学の数とその学生数の推移

このグラフを見る限り、H10年ごろから学生数は停滞状態が15年近く続いていますが、その間も大学数は増え続けています。
なぜでしょうか?
理由は、文部省(現在の文科省)が「欧米先進国レベルまで4大卒者率を引き上げよう」という政策を掲げ、4年制大学の認可基準を引き下げ、同時に学生数減少で苦しむ短期大学や専門学校を4年制大学へと次々に鞍替えさせていったのです。
その結果、この20~30年間に都市でも地方でも次々と大学がつくられたのです。

短期大学の数とその学生数の推移

大学の「主要顧客」である18歳人口は、ピーク時の1992年(平成4年)に200万人を超えていましたが、その後減少に転じ、2017年には120万人へ4割減少、2031年には100万人を切ると予想のされています。

その結果が、全国に600校余りある私立大学の「大学淘汰時代」の幕開け(=2018年問題)です。

4割の大学が定員割れ

このような状況下で、既に定員割れ大学が私大全体の4割を占めているのが現状です。
一方で私立大学の典型的な収支構造は、半分強が学生等納付金、1割程度が補助金、残りが事業収入です。つまり、「定員割れ」は大学の経営にとって致命傷なのです。

実際、都内の私大では淘汰が進み始めている言われ、法科の大学院はその多くが廃校や募集停止になっているほか、東京女学館大学、青山学院女子短期大学、立教女学院短期大学などの有名女子大も募集停止になっているのです。

定員割れ大学

このような状況下、文科省では経営困難に陥る私立大が続出することを想定し、大学間の相互扶助や学生の転学支援を検討し始めました。さらに中央教育審議会の将来構想部会では、国公私立大の枠を超えた、さまざまな大学間連携・統合のあり方も議論されているようです。

補助金に依存する大学

今の日本では、私立大学が手続きに従って経営補助金の申請書を提出すれば、簡単に億単位の資金が交付される仕組みになっています。
ちなみに、2017年度の国の大学への補助金の合計は3,168 億にものぼっています。

この補助金は、国からのものばかりではなく、本部やキャンパスが所在する地方自治体からのものもあり、特に地方自治体からの補助金は、学内の不祥事などによって減額措置のある国からの補助金に比べて、より審査が緩い傾向にあると言われています。

ちょっと古い数字ですが、2014年度の大学への補助金のトップは日本大学で94億円、続いて早稲田大学86億円、慶應義塾大学85億円、東海大学64億円、順天堂大学56億円となっています。
例年、お馴染みのマンモス大学および医科系の大学が上位を占めているそうです。

「定員割れ」が常習化してる大学では、この補助金に経営を大きく依存しているのが現状です。

 以下に掲示したデータは、14年3月期決算を基に、法人の年間収入に占める補助金の割合を示したものです。

【補助金依存度が3割を超える学校法人(カッコ内は大学名)】
・村上学園(東大阪) 41.08%
・大阪観光大学 38.26%
・郡山開成学園(郡山女子) 37.66%
・中越学園(長岡) 36.30%
・享栄学園(鈴鹿国際) 34.97%
・聖カタリナ学園 34.57%
・三島学園(東北生活文化) 34.09%
・柏専学院(新潟産業) 33.61%
・成美学園 33.13%
・興誠学園(浜松学院) 32.67%
・鎮西学院(長崎ウエスレヤン) 31.62%
・稚内北星学園 31.38%
・日本橋女学館 30.60%
・君津学園(清和) 30.58%
・高岡第一(高岡法科) 30.57%
・昌平黌(東日本国際) 30.16%

 以上の通り、依存率で3割を上回ったところが16法人もあるのです。これらの大学はもはや補助金なしでは法人の運営は成り立たないと考えられます。
このほかにも依存率が25%を上回っているところが25法人もあります。
ちなみに支給額でトップの日大の依存率は9%台と1割を切っており、早稲田、慶應も1割台にとどまっています。

破綻大学

少子化の大学への影響は、これからが本番です。そのため、大学を取り巻く環境が中期的に改善するとは全く考えられず、上記のような国や地方自治体からの補助金に過度に依存している私立大学もいずれ破綻すると言われています。

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