ビジット・ジャパンの効果と訪日外国人観光客数

政治・行政

最近、街で買物や外食をしていると、よく見かけるのが下の「ビジット・ジャパン」キャンペーンのロゴ。
今回は、この「ビジット・ジャパン」と訪日外国人観光客数などについて調べてみました。

ビジット・ジャパンキャンペーンのロゴ

 ビジット・ジャパンの生みの親はあの小泉元総理!

この「ビジット・ジャパン」、事の始まりは・・・
2003年当時、バブル崩壊から10年以上も経つのに、依然として出口の見えない不況のもとで発せられた、小泉元総理の“観光立国宣言”にありました。

「観光の経済波及効果は大きい。急成長するアジアをはじめ、世界中から日本に観光客を呼び込もう。そうすれば、地域活性化や雇用機会の増大などの効果が期待できまる。」

小泉元総理の“観光立国宣言”

という号令一下のもと、国土交通省が中心となり、訪日外国人観光客数を増やし観光立国の実現を目指して2003年から始められたのが、「ビジット・ジャパン」キャンペーンだそうです。

その後、2008年にはこの「ビジット・ジャパン」の担い手として国土交通省内に観光庁が設置され、自民党政権下→民主党政権下→再び自民党政権下と、12年以上も経った今でも続けられている“国策”なのです。

 

 昨年、日本を訪れた外国人は3,000万人!

では、実際日本にはどれくらいの外国人が来ているのでしょうか?

現在、国関係で発表している統計では、観光のための来日者とビジネスのための来日者が分けられていません。
国は、飛行機や船に乗り日本のイミグレーション(出入国審査カウンター)を通過した人の合計数を「訪日外国人旅行客数」として公表しています。同一人物が1年の間に日本に3回来たら、その年の訪日外国人旅行客数統計には3人とカウントされます。

つまり、国が公表している「訪日外国人旅行客数」=「延べ訪日外国人旅行客数」の数字なのです。
まあまあ、とは言うものの・・・、現在のように非常に多くの外国人が観光ビザで入国していることを考えると、「入国目的=観光」と考えてもそんなに大きな問題は無さそうです。

では、実際に訪日外国人旅行客数はどのように推移してきているのでしょうか?
下のグラフは、前回の東京オリンピックから2015年までの延べ訪日外国人旅行客数の推移と主な出来事です。 ※単位=万人訪日外国人旅行客数の推移

元々、国はビジット・ジャパン政策で「2010年までに訪日外国人観光客数1,000万人達成」を目標としていましたが・・・、2008年のリーマンショックによる世界同時不況、2010年の中国との尖閣列島問題、2011年の東日本大震災などなど、いろいろ予想外の訪日阻害要因があり、低迷していましたが、2013年には訪日外国人旅行客数は1,000万人を越えました。

その後、急激な円安の進行にも支えられ、訪日外国人観光客数は急進長し、2015年には1974万人と、2,000万人の一歩手前まで急増しました。

ただ、口ばかりの安倍政権は「2020年の東京オリンピックの年には、4,000万人の訪日外国人観光客数を目標にする」と、発表してます。しかし、今回の新型コロナウイルスによる新型肺炎が世界中に広がったことで、ほとんど実現は不可能でしょうね。それどころか、2020東京オリンピック自体の開催も・・・?

訪日外国人観光客の8割以上がアジア人!

下のグラフは、やや古いのですが2015年の訪日外国人観光客の国・地域別割合です。内側の円の黄色い部分が、アジアからの訪日者数です。何と全体の82.9%です。

訪日外国人旅行客の国・地域別割合

みなさんも、街なかでやたらと目立つので、「中国人が多いだろう」と思っていると思いますが・・・、その通りです。
中国と香港、そして台湾の3つを合わせると、1,019万人。日本に来る外国人の半分が中国人です。さらに韓国を加えると、訪日外国人の72%を占めています。

まあ、これらの国は近く旅費が安いので、ビジット・ジャパン政策に伴う「観光ビザ発給条件の緩和」に合わせて急増してきたようですが・・・。
日本各地で非難の的になっている彼らのマナーの悪さは、
ゆっくりと日本文化や自然を楽しみに来ている欧米人観光客の邪魔になっているのでは?

しかし、欧米人訪日者がこんなにも少ないのには驚きました。

データ出典) 観光庁及び日本政府観光局(JNTO)

日本旅行を希望する中国人のその意識は?

JTBが2016年1月に中国人を対象に実施した「日本旅行に関するアンケート」の結果をご紹介します。調査対象者は「1年以内に日本への観光旅行を希望している、年収 12 万元(約 240 万円)以上の中国人男女 1,000 名」です。

まず始めに、「過去3年以内に行った旅行先は?」と尋ねると・・・、

中国本土が 86.8%、以下、香港・マカオ・台湾が 74.0%、日本56.7%と続きます。半数以上の人がすでに日本旅行を経験済みで、さらに3割以上の人がヨーロッパ旅行も経験済みとは驚きました。

次に、「日本旅行の目的は?」と尋ねると・・・、

初めての日本旅行の目的は、「観光旅行(家族、友人訪問含む)」(47.4%)「ビジネス旅行(出張、国際会議や学会などへの出席)」(22.2%)「職場の仲間との旅行(社員旅行)」(11.5%)「ビジネス旅行(インセンティブ旅行)」(11.1%)と、観光旅行が一番多い結果でした。一方、直近の訪日旅行では、「観光旅行(家族、友人訪問も含みます)」(52.5%)「ビジネス旅行(出張、国際会議や学会などへの出席)」(11.0%)となり、ビジネス旅行は減少し、インセンティブ旅行が15.6%と増加しています。

まず始めに、「日本での食事は?」と尋ねると・・・、

初訪日では、「日本料理店で食事(寿司、天ぷら、刺身など)」(75,5%)が最も多く、続いて「日本食ファーストフードチェーン」(38.0%)、「ラーメン」(33.3%)の順でした。一方、直近の訪日では、やはり「日本料理店で食事(寿司、天ぷら、刺身など)」(63.2%)が最も多く、続いて「日本食ファーストフードチェーン」(44.8%)でした。ただ、「コンビニなどで買って」(25.8%)、「西洋料理」(23.9%)というように訪日経験の増加で様々な場所で食事を楽しむ傾向が見られます。

次に、「 はじめて日本に行きたいと思ったきっかけは?」と尋ねると・・・、

「アジアの先進国として日本を見てみたかった」(37.4%)が最も多く、次いで「日本料理を食べて、日本でも食べてみたいと思った」(34.8%)、「日本製の商品を利用してみて日本で買ってみたいと思った」(30.4%)でした。日本の「食」や「技術」への関心が日本に行きたいと思うきっかけになっているんですね。

続いて、「日本が誇れると思うことは?」と尋ねると・・・、

「質の高いサービス」(53.3%)、「科学技術」(48.6%)、「教育水準」(42.6%)、「国民の勤勉さ」(40.9%)、「食文化」(40.7%)でした。

最後に、「一番行きたい海外旅行先は?」と尋ねると・・・、

「日本」(38%)が最も多く、次いで「ヨーロッパ」(20.8%)、「アメリカ・カナダ」(11.4%)でした。旅行先のマナーの悪さが世界的に有名な中国人。日本の一国民としては、やっぱりあまり来てほしくはないですね。

訪日外国人旅行者の日本への経済効果はどのくらい?
観光庁によると、2018年の訪日外国人観光客数は3119万人と過去最高を記録、5年前の3倍に増えているそうです。またこの訪日外国人観光客による消費額は、全体で4兆5,064億円、1人当たりの旅行支出は15万3千円だそうです。
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