昨日、中国政府(中国国家発展改革委員会)は、内需を刺激するため、2019年と2020年に可処分所得を引き上げる対策を打ち出すと発表しました。長年、庶民の所得低迷が叫ばれている日本も何とかしてして欲しいものですね。
そこで今回は、ここ50年で日本の一人当たり国民総所得(名目GNI)がどう変わってきたかを様々な国と比較しながら見てみました。
データの出典は、世界銀行のデータベースで、算出方法は世界銀行アトラス方式です。
20年前からほとんど変わっていない日本の一人当たり国民総所得
2018年の日本の一人当たり国民総所得は41,340米ドルです。50年前の1968年、ちょうど日本の高度成長期の後半にあたりますが、このときの日本の一人当たり国民総所得はまだまだ非常に低く、1,430米ドルしかありませんでした。つまり、現在の約1/30しかなかったのです。
その後の約30年間は、日本の一人当たり国民総所得は急増していき、1996年には現在を上回る43,150米ドルにまで達したのです。しかし、その後の20年間は上がったり下がったりを繰り返しているだけです。
この間の世界全体の動きを見てみると・・・、
1968年の世界全体の一人当たり国民総所得は、701米ドルで当時の日本の半分でした。その後、ほとんど上下動はなく緩やかに上昇し、2018年には11,101米ドル(=日本の約1/4)にまで達しています。
日本と世界平均の差が最も大きかった1996年当時は、日本は世界平均の8倍弱のあったのです。しかし、その後の20年強で世界平均は約2倍の増えているのに日本は・・・。
みなさんもご存知の通り1980年代は、いわゆる「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を謳歌した時代だったのです。いまの日本は、もっと自らの現状を真剣に捉えた中期戦略を実施しなければ、きっと悲惨な未来になるでしょうね。
1968年 | 1996年 | 2018年 | 伸長率 | |
日本 | 1,430 | 43,150 | 41,340 | 2,891% |
世界平均 | 701 | 5,485 | 11,101 | 1,584% |
では、次は米国及び中国を見てみます。
安定して伸び続ける米国、一人当たりではまだまだの中国
次は現在の世界経済の中心である、GNP(国民総生産)世界1位の米国と2位の中国を日本と比較しながら見てみます。
戦後、一貫して世界経済を牽引している米国ですが、1968年当時は4,740米ドル(=日本の約3.3倍)でしたがその後も順調に伸ばし続け、2018年には62,850米ドル(=日本の約1.5倍)にまで達しました。これは、現在でも米国民は日本国民より1.5倍も裕福であるということです。ただ、この50年間の間で1987年~1999年までの10年ほどは、日本が急成長の結果、米国を上回っていたのです。
しかし、ほんと米国経済って強いですねぇ。
続いて中国ですが、1968年当時はまだ社会主義経済時代で一人当たり国民総所得はわずか90米ドルしかありませんでした。これは世界平均の1/8程度の水準です。中国が鄧小平の指導体制の下で改革開放政策を取り出したのは1978年以降ですが、さすがに大所帯の中国では一人当たり国民総所得は日本のように急激に伸びることはありませんでした。しかし、ここ10年の伸びは非常に高く、2018年には50年前の100倍以上の9,470米ドルにまで達しています。ただ、13億人全体の平均を上げるのはやはり大変なようで、現在でも世界平均に達していません。
1968年 | 1996年 | 2018年 | 伸長率 | |
日本 | 1,430 | 43,150 | 41,340 | 2,891% |
世界平均 | 701 | 5,485 | 11,101 | 1,584% |
米国 | 4,740 | 30,270 | 62,850 | 1,326% |
中国 | 90 | 650 | 9,470 | 10,522% |
では、次は日本とよく比較される先進国のイギリス、フランス、ドイツを見てみます。
日本と同じようにここ10年は伸び悩むイギリス、フランス、ドイツ
イギリスとフランスは、上下動はあるもののこの50年間で15倍前後増えています。また、ドイツは1990年に東西再統一がありますが、うまく乗り越えています。
しかし、日本は1996年からの停滞ですが、これら3カ国も2008年のリーマンショック以降は停滞しているのが現状です。近年では大量の移民問題もからみ、これらの国の国民は政府に対して強い不満を持っている人が増えているようです。
1968年 | 1996年 | 2018年 | 伸長率 | |
日本 | 1,430 | 43,150 | 41,340 | 2,891% |
世界平均 | 701 | 5,485 | 11,101 | 1,584% |
イギリス | 2,450 | 22,640 | 41,330 | 1,687% |
フランス | 2,570 | 27,110 | 38,310 | 1,482% |
ドイツ | – | 30,910 | 47,450 | – |
*イギリスは1968年ではなく1970年の数字です
*ドイツは1978年からの数字です
では、最後にアジアの先進国?のシンガポール、韓国、香港を見てみます。
すでに日本を追い越しているシンガポール、香港
最後に、小国だがシンガポールと徐々にきな臭くなってきている香港、そして何かと日本を非難する韓国の数字を見てみました。
人口560万人ほどのシンガポールですが、1968年当時は750米ドルで日本の半分程度だったのですが、2018年には58,770米ドルと日本の1.4倍と急成長しています。また、人口740万人ほどの香港も2018年には50,310米ドルと日本の1.2倍まで急成長しています。経済規模から見ると取るに足りない両者ですが、もはやアジアでの経済面での影響力は無視できない存在です。
最後は、人口5,000万人ほどの韓国です。韓国は1950年~1953年の朝鮮戦争により壊滅的な被害を受けました。そのため、休戦協定から15年もたっている1968年でも一人当たり国民総所得は世界平均の1/4程度の190米ドルしかありませんでした。しかし、その後の成長は凄まじく、2018年には30,600米ドルと50年間で161倍となりました。驚くことに、この成長は中国以上なのです。
1968年 | 1996年 | 2018年 | 伸長率 | |
日本 | 1,430 | 43,150 | 41,340 | 2,891% |
世界平均 | 701 | 5,485 | 11,101 | 1,584% |
シンガポール | 750 | 25,620 | 58,770 | 7,836% |
香港 | – | 24,140 | 50,310 | – |
韓国 | 190 | 13,040 | 30,600 | 16,105% |
*香港は1978年からの数字です
→→→ アジアの中心都市の座を固めるシンガポール
参考までに日本の実質国民総生産(GDP)のここ50年間の推移を見てみます。
グラフのように、日本の「実質国民総生産(GDP)」はバブル崩壊(1991年頃)までの勢いこそありませんが、その後も緩やかに伸びているのです。しかし、これまで見てきた通り「一人当たり国民総所得(名目GNI)」は1996年以降は低迷しているのです。
人口が増えているわけでもないのに。いったいどういうことなんでしょうか?
よく言われるのは・・・、
・企業の搾取(内部留保拡大や賃金カットなど)
・適当な行政の赤字埋めのための増税
それにしても、これからの日本はどうなるのでしょうか?
これまで通り、米国の言いなりで本当に日本国民はしあわせになれるのでしょうか?
皆さんはどう思いますか?















