なにかと世界を騒がす中国ですが、実は日本同様に2020年以降は高齢化と労働力不足が大きな問題になると言われています。その原因は1979年から2015年まで導入された厳格な人口削減策、いわゆる「一人っ子政策」の影響です。
そこで今回は、中国の人口構造変化について詳しく見てみました。
なお記事中のグラフはPopulationPyramid.netのデータを利用しています。
中国が高齢化、それってやばくない?
子供溢れる1970年代の中国社会
ご存知の通り、社会主義経済だった中国は、1978年より鄧小平政権下で共産党一党独裁を維持しつつも市場経済を導入するという改革開放路線に大きく舵を切りました。
当時の中国は爆発的な人口増で、総人口10億人を眼の前にしていました。そこで人口抑制の切り札として導入された政策が、あの「一人っ子政策」なのです。具体的には・・・
急激な人口増加を緩和するため、一組の夫婦につき子供を一人に制限し、二人目からは罰金を科す。
というものです。
下図は「一人っ子政策」導入の前年の1978年当時の中国の人口ピラミッドです。
きれいなピラミッド型の構造で、0歳から14歳までの幼少年人口の割合は38.1%もあります。現在の日本の幼少年人口の割合が12.7%なので、当時の中国には今の日本の3倍もの子供がいた事になります。
一方、65歳以上の高齢者はたったの4.2%です。(現在の日本の高齢化率はなんと28.1%!)
労働力の塊だった高度成長直前の中国
「一人っ子政策」導入から20年後の1998年の中国は、下図のように「一人っ子政策」導入前に生まれていたたくさんの子供たちが成人し、エネルギー溢れる20、30代の労働力になっています。
これが、その後の中国の奇蹟的な成長を支えていく原動力だったのです。
この時点での中国の幼少年人口の割合は26.4%で「一人っ子政策」導入前より10%以上大幅に低下しています。しかし、高齢化率は、まだたったの6.3%です。
なつかしい、この時代の中国には毎月のように出張したなぁ。
わずか40年で釣鐘型の人口ピラミッドへ
そして現在、中国の人口ピラミッドは下図のように先進国型の釣鐘型に変わっています。
幼少年人口の割合は17.2%で「一人っ子政策」導入前の1/2以下にまで低下、高齢化率も11.9%とかなり高まってきています。
多くの国では、子供の多いピラミッド型から社会の成熟とともにゆっくりと釣り鐘型の少子化社会に向かうのが通常ですが、中国の場合人為的に少子化を進めたため、たった40年で近い将来の労働力不足や少子高齢化が心配されるこのような人口構造になってしまったのです。
中国は20年後の2038年には、幼少年人口の割合は13.4%、高齢化率も23.5%で見るも無残な人口ピラミッドになることが予想されています。そうです、完全な少子高齢化社会です。しかも14億人という巨大な器でです。実際、中国では数年前から「未富先老」(未だ富まないのに先に老いていく)という嘆き節が流行語になっているそうです。
同時に、この頃が中国の人口のピークと予想されており、以降は「人口減少社会」になるのです。
このような環境下で、現在の日本のように中国も深刻な労働力不足と財源不足の多重苦の中、衰退(破綻?)していくと予想する欧米の学者もたくさんいます。
一般的に中国の高齢化の進展は、日本より30年遅れていると言われています。つまり、中国が現在の日本のような状況になるのは2050年ごろなのです。
一方で、中国は2030年代の前半にはGDPで米国を抜き、世界一になりますます裕福になっていると予想されています。いち早く高齢化社会を経験している日本にとっては、介護用品や介護サービスといった面で非常に大きなビジネスチャンスを得られるということです。あくまでも、あと30年間日本が財政破綻などせず、かつ先端技術力維持していることが前提となりますが・・・。
ほんと、30年後の世界はどうなっているのでしょうかねぇ?
時代は常に流れているんだなぁ・・・