集団登校の小学生の列や街の商店に車が突っ込んだり、高速道路を気づかずに逆走したり、最近は、毎日のようにニュースで報道されている高齢者ドライバーによる悲惨な交通事故。
しかし、今後も高齢者の数は、ますます増加していくはずの日本。
そこで今回は、この「高齢者ドライバーの現状」ついて調べてみました。
75歳以上の超高齢者ドライバー数は362万人!
警察庁では、「高齢者ドライバー=65歳以上の自動車免許保有者」と定義しているのですが、
全国にはこの高齢者ドライバーが、なんと1,094万人(H27末現在)もいるそうです。
そのうち、65-74歳が733万人で75歳以上が362万人です。
さらに恐ろしいことに、今後は65-74歳の高齢者ドライバー数は横這いになりますが、
75歳以上の超高齢者ドライバー数が急増し、(財)日本自動車研究所の予測では、2025年頃にその数は逆転してしまうそうです。
つまり、あと10年もしないうちに、700万人以上の75歳以上の超高齢者ドライバーが日本中に溢れるということです。
高齢者ドライバー自身も自覚している運転への不安!
では、この高齢者ドライバーの人たちは、普段自動車を運転している時、同様なことを感じているのでしょうか?
ちょっと古いデータなのですが、福岡県商工部が2010年に、「全国1万人の高齢者ドライバーを対象」にしたアンケート調査の結果の一部をご紹介します。
まず最初は、「自分は何歳ぐらいまで運転を続けたいか?」という質問に対する回答です。
<自動車の運転を続けたい年齢>
「運転できる限りずっと」と回答した者が、なんと5割以上。
気持ちはわかりますが、最近のニュース報道のことを考えると、なんか「怖い」ですねぇ・・・。
次は、「普段車を運転するときの乗車人数は?」という質問に対する回答です。
「一人」が約四割。
自分のように突然脳溢血で倒れたり、あるいは心臓発作、認知症・・・、高齢者には突然運転不能になる病気の危険性が高いはずですが・・・。
最後は、「高齢者の自動車運転能力」に関する質問に対する回答です。
以下の5項目などは、全国で発生している「高齢ドライバー事故」に直結しており、
この現状、ハッキリ言って「ヤバイ」んじゃないでしょうか?
「夜間、歩行者を見落とすことがある 27.9%」
「サイレンや踏切音が聞こえにくい 17.0%」
「なるべく右折をしたくない 28.5% 」
「運転中、ボーっとする 18.2%」
「後ろを見ながらバックするときアクセルの踏み込み加減が難しい 19.5%」
プロであるタクシードライバーも高齢化が大きな問題
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会によると、2018年時点で全国にいる約40万人いるタクシードライバーの平均年齢は60.1歳だそうです。
ただ、この数字は都道府県ごとにかなり開きがあり、一番平均年齢が高いのは福井県で67.1歳、一番平均年齢が若い都道府県でも、東京都の55.1歳となっています。福井県の67.1歳ってかなりやばいと思いませんか?これが平均年齢ということは70歳以上の高齢者ドライバーがたくさんいるということですよねぇ・・・。
ちなみに、警察庁では高齢運転者を65歳以上と定義づけており、東京都では70歳以上のドライバーは高齢者講習を受講しないと運転免許証の更新はできないのです。さらに75歳以上では、高齢者講習に加え認知機能検査が義務付けられているのです。
全国ハイヤー・タクシー連合会の方では、少子高齢化社会の進展とともに、全国のタクシードライバーの平均年齢もさらに高くなっていく可能性があるとしています。

怖い世の中だ・・・
法的にはタクシードライバーの年齢制限は無いのが現状!
タクシー会社では、65歳を定年にしているところが多いようですが、特に定年を決めていない会社もあるそうです。また、定年が65歳のタクシー会社でも、65歳を超えた人は「嘱託」という形で雇っているケースも多いそうです。
さらに、個人タクシーの場合は本人がやめない限り、何歳でも営業できるようです。
下記は最近起こった高齢者タクシードライバーによる事故の報道です。
2018年12月26日に福岡空港で、73歳のタクシードライバーが、前に停車していた別のタクシーに衝突。衝突後も、歩道にいた3人をはねたという事故がありました。
この73歳のタクシードライバーは、乗客の荷物を下ろそうと運転席を離れたところ、タクシーが動き出したため慌てて戻ったが「慌てていたので、ブレーキとアクセルを踏み間違えたため」と話しています。2016年11月27日、千葉県浦安市富岡の市道で65歳のタクシー運転手が走行中に突然意識を失い、乗っていた客が後部座席から身を乗り出してハンドル操作を行うというニュースがありました。
タクシーは、5~6回縁石とぶつかった後、歩道に乗り上げ、乗客はスピードが落ちたところで窓から脱出し、軽いケガで済んだそうです。その後タクシーの運転手は、搬送先の病院で死亡が確認されました。
こんなことがあっていいのでしょうか?
タクシードライバーは人を乗せる仕事、いわゆる「プロ」ですので、「単純なミスや偶然」では済まされないのはないでしょうか?
そろそろ政府も、何らかの法的タクシードライバー制限を設けなければまずいのではないでしょうか・・・?
皆さんは、どう思いますか?

国の方で、なんとかしてくださいよ・・・
「高齢者ドライバー事故」への対策の柱は3つ!
こんな状況下、国が進めている対策は様々ですが、その中でもどうやら以下の3つが柱になっているようです。
- 高齢ドライバー自身による「運転免許の自主返納」
- すでにヨーロッパの多くの国で普及し始めている「超小型モビリティ」の導入
- ドライバーに代わって、車がハンドルやアクセル、ブレーキを操作する「自動運転車」
まずは、1の「運転免許の自主返納」ですが・・・、
警察庁の発表によると、昨年(2015年)一年間の免許の自主返納件数は、全国で285,514件数。高齢ドライバーの数1,094万人と比べると、まだまだ少ないような気がします。ただ警察官の方では、それぞれの地域の自治体と協力しながら、免許を返納した高齢者にさまざまな特典を用意に、返納を呼びかけているそうです。
返納した特典は、各都道府県ごとに違うそうなので、65歳以上の免許保有者がいるご家庭では、一度調べてみてはいかがですか?
<高齢ドライバーが免許自主返納した際の特典例>
- バスやタクシーの乗車運賃割引
- 福祉タクシー券の配布
- 温泉施設の割引
- 補聴器等の割引
- 銀行預金利息の割増 などなど
次は2の「超小型モビリティ」ですが、国土交通省によると・・・
超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両をいいます。
実際に、国内自動車メーカーからも既に発売されており、
も国土交通省の方でも、公道走行を可能とする認定制度を創設するとともに、地方自治体、観光・流通関係事業者等の主導による先導・試行導入を支援しているそうです。
最後は3の「自動運転車」ですが、これについては、毎日のようにTVや新聞で報道されているので、省略します。
この高齢ドライバー事故の問題も、専門家からはだいぶ前から指摘されていた問題。
いっこうに進まない「免許の自主返納」のような子供だましの対応ではなく、国民の多くが納得できる、抜本的対策の早期実行を国にはお願いしたいですね。

高齢者ドライバー側の意思改革が必要ですね。
日本での交通事故の最大の犠牲者は「歩行者」!
国土交通省によると、日本での交通事故死亡者のトップは、車を運転しているドライバーや同乗者ではなく、なんと道を歩いている歩行者なのです。さらに、自転車を加えると、毎年2,000人以上の生身の人間が、鉄の鎧に守られた自動車にひき殺されているのです。
さらに、主要先進国で同じデータを見てみると・・・、
驚くことに、明らかに日本だけ歩行者と自転車の比率が高いのです。
日本でも当然法律上は、「歩行者最優先」とですが、実際は「ドライバー優先」の各種政策を長年とってきた結果が、このように欧米先進国とはかけ離れた現実をつくったのではないでしょうか?
“自動ブレーキ”は本当に歩行者を救えるのか?
警察庁によると、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」による死亡事故は、去年1月から11月までに全国で45件起きていて、そのうち84%が65歳以上の高齢者ドライバーによるものだそうです。・・・恐ろしいですねぇ。
国土交通省によれば、現在実用化されている先進技術を利用した運転安全装置には、下の2つがあるそうです。
<衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)>
これは、よくTVCFで見るように、車に搭載されたレーダーやカメラにより、前方の車や歩行者を検知し、衝突の危険性がある場合には、まずブザー音などでドライバーに警報し、さらに衝突の危険性が高まった場合には、自動でブレーキを作動する装置です。
こちらの装置は、高齢ドライバーによる事故が社会問題化する前から、長年研究開発されてきたもので、車の市街地での中低速走行時の事故を未然に防いだり、被害を最小限に抑えるのが狙いです。
たとえば、ドライバーの見落としによる交差点での事故、前の車の急減速に気づかなかったり対応が遅れたりして起こるオカマ衝突事故などです。
もう一つの運転安全装置は、社会問題化している「ブレーキとアクセルの踏み間違い」対策そのものズバリで・・・、
<ペダル踏み間違い時加速抑制装置>
これは、車の停止時や低速走行時に、車に搭載されたレーダー、カメラ、超音波ソナーが前方やび後方の壁などの障害物や他車を検知している状態で、アクセルを踏み込んだ場合にはエンジン出力を抑える等により、急加速を防止する装置です。
こちらの装置は、多発している高齢者ドライバーなどがアクセルとブレーキの踏み間違えによる暴走事故を防いだり、被害を最小限に抑えるのが狙いです。
実際には各メーカーとも、上の2つを合わせながら運転の安全性を高めているのが現状です。また、これらの装置の仕組みや仕様については、各メーカーごとに異なっているので、購入に際しては、自分の普段の運転状況に合わせて選ぶのがいいようです。
このように“自動ブレーキ”などのすでに実用化されている運転安全装置により、歩行者の安全性は飛躍的に高まることが期待されています。
急速に増えている自動ブレーキ搭載車
最近では、新車購入時の自動ブレーキ搭載価格が10万円を切っているものがほとんどなので、平成27年に販売された新車(乗用車)の45.4%は自動ブレーキ搭載車となっているそうです。 (国交省発表)
また、わざわざ新車を買わなくても、今乗っている車に“後付け”で自動ブレーキを付けることもできるようです。
その1つが、カー用品店大手のオートバックスセブンが昨年冬に、4万円程度で発売した「誤発進防止の機能」(自動ブレーキ簡易版のようなもの)です。
この装置を取り付けると、時速10km以下でアクセルを強く踏んでも、車は急発進しないそうです。
メディアで報じられているような“高齢ドライバーの運転ミスによる悲惨な事故”は防げそうですが、きっとメディアでは報じられないような“小さな事故”は続いていくのでしょう。












